ダイハツ

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ダイハツ・ハイゼットトラック – 今や軽トラックのベストセラー

この記事の目次

あまり話題にはなりませんが、日本で一番売れている軽トラックはなんでしょうか?ブランドや車名を変えて販売されるOEM車を合計しない単体での販売台数ならば、間違いなくダイハツ・ハイゼットトラックです。キャビンを広げてリクライニングシートを装備したハイゼット・ジャンボを早くから販売し、今や予防安全性能も充実するなど乗用車に近い快適性や安全性能を持つベストセラー軽トラックの概要や歴史を紹介します。

各代の概要や時代背景

総合解説:日本で一番売れている軽トラック、ダイハツ・ハイゼットトラック

かつて日本ではダイハツ、スズキ、三菱、スバル、マツダ、ホンダと主要軽自動車メーカーの全てが作っていた軽トラックですが、軽商用車市場が低迷したこともあって、今やダイハツ(ハイゼットトラック)、スズキ(キャリイ)、ホンダ(アクティ)しか作らなくなってしまい、他は全て生産を続けているメーカーからOEM供給を受けるのみとなりました。

中でも独立独歩のホンダを除けば必然的に日本の軽トラは2種類が大半を占めるようになり、自社を含める4社(スズキ、日産、三菱、マツダ)で販売しているスズキ・キャリイと、3社(ダイハツ、トヨタ、スバル)で販売しているダイハツ・ハイゼットトラックの2極化しています。

販売店が多いだけあり、OEM供給されたものを含めた全体の販売台数ではキャリイが勝ります。しかし、OEMを除く単体でもっとも販売台数が多いのはハイゼットトラックで、たとえば2019年9月にはハイゼットトラック9,165台に対し、キャイイは6,119台と圧倒的。

2000年代まではキャリイの長年No.1が続いていましたが、2010年代に入ってからは一度も譲ることなく、軽トラック販売No.1の座を続けており、つまり「日本でもっとも売れているトラック」でもあるのがハイゼットトラックです。

また、1BOX軽貨物車版のハイゼット・カーゴとともに、「ハイゼット」としては1960年に発売されて以来60年近く車名を変えずに販売されている、「軽自動車でもっとも古い車名」の車であり、まだボンネットバン/トラックだった初代は、現在のミラやムーヴに続くダイハツ軽乗用車/ボンネットバンの源流でもあります。軽3輪車の代表が同じダイハツ・ミゼットなら、ハイゼットトラックは軽4輪車を代表する1台と言ってもよいでしょう。

ハイゼットトラック前史:名門3輪トラックメーカーが軽四輪へ進出するまで

日本の自動車メーカーでもかなり古い歴史を誇るダイハツ工業が創業したのは1907年。当初は「発動機製造」の名の通りエンジンメーカーで、産業用エンジンの生産を手掛けていましたが、1919年には独自に自社製エンジンによる軍用自動車を試作するなど、早くから自動車メーカーとなる素地はありました。

自動車業界への参入は1930年、オート三輪「ダイハツ号HA」からで、それ以来従来通りエンジンメーカーとして各種ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの開発・生産を得意とする「エンジン屋」であるとともに、国民経済を支える簡便なオート三輪メーカーとしても戦前から戦後を通じて、名門メーカーであり続けます。

オート三輪をベースに乗用車化、少数が生産された「ダイハツ・ビー」を発売した1951年に「ダイハツ工業」へと車名変更してからも名門オート三輪メーカーとしての立場は変わらず、戦後に軍需から民需へ転換した各種工業メーカーがオート三輪で自動車業界へ進出してきても、マツダなどとともに長期間オート三輪を作り続けてきた実績と信頼性により、むしろ市場での立場を強固なものにして、数あるライバルの中でも生き残っていきます。

1950年代に入ってから零細/中小メーカーによりポツポツ登場してきた四輪軽自動車に対しても価格や実用性、品質面での優位は大きかったものの、いずれ経済成長とともに四輪車の時代になると考えたダイハツは1958年の小型四輪トラック「ベスタ」で四輪自動車市場へ参入。

軽自動車の分野においても、既に当時の上限である360ccエンジンで十分な実用性がある軽自動車を現実的な価格で販売できる見込みがたち、コニー(愛知機械工業。現在は日産の子会社)なども既に参入していたことから、軽オート三輪「ミゼット」のヒットにおごることのなかったダイハツは、初の軽四輪自動車「ハイゼット」を1960年に発売しました。

黎明期の軽自動車の中には乗用モデルをラインナップしていたものもありましたが、当時はまだモータリゼーション以前で、国民の誰もが乗用車に手が届くようになるのは1960年代後半から。それまで軽自動車であるかどうかに関わらず商用車を作り続けてきたダイハツが「ハイゼット」を商用ライトバン/トラックとして発売したのは必然でした。

それ以来、現在に至るまでハイゼットトラックは軽トラックのベストセラーとして、現存する中でもっとも古い名前の軽自動車として販売され続けているほか、初代ハイゼットはダイハツ初の軽乗用車フェローのベースになるなど、ダイハツ軽自動車全ての始祖として誕生したのです。

「ミラ」シリーズの源流でもあるダイハツ初の軽四輪車、初代L35/L36(1960-1967)

初代ハイゼット、L35型は1960年11月に発売。当初はライトバン/パネルバンL35V型の設定がなく(1961年5月発売)、トラックのみの発売だったため、「ハイゼットトラック」がダイハツ初の軽四輪車です。

初代スバル・サンバーや初代スズキ・キャリイ(いずれも1961年発売)より早く登場し、くろがね・ベビーやヂャイアント・コニー360、ニッケン・コンスタックなど当時のライバルを蹴落とすように生き残り、マツダ・B360のように車名変更も経なかったため、現存車名としては最古の軽自動車になりました。

「L35」という型式からもわかる通り、初代ハイゼットは後のダイハツL系軽乗用車/軽ボンネットバンの元祖というべき軽4輪車であり、後継として当初はライトバンやピックアップトラックもラインナップしていた軽乗用車L37S初代フェローを経て、現在のLA350SミライースやLA150Sムーヴ、LA350Sタントなどへとつながる源流となったモデル。

その意味で2代目以降のハイゼットトラックとは構造が大きく異なり、エンジンが前席座席下にあるフルキャブオーバー方式ではなく、通常の車のように下へエンジンを収めたボンネットを持つボンネットトラックであり、ピックアップ乗用車的な見かけをしています。

当時は現在と違ってフルキャブオーバー方式のトラックなど馴染みがなく軽商用車でもくろがね・ベビーくらいで、座席下エンジンのヂャイアント・コニー360ですらボンネットを持っていましたから、この形が当たり前という時代でした。

ただし、既にベビーが登場していたように、荷室(トラックなら荷台)が広いなどフルキャブオーバー方式のメリットは明らかで、初代L35型ハイゼットトラックは乗用車的な、あるいはフロントに操舵用タイヤを置いていたオート三輪ユーザーに違和感ないようなデザインの商用車として販売され、フルキャブオーバー式の2代目ハイゼットが発売されてからも、後継のフェローピックアップが登場する1967年までしばらく販売され続けています。

その間、ミゼットで既に実績のあった混合給油式オイルマチック搭載の強制空冷ZLエンジンから、同じ2ストロークでも水冷のZMエンジンへとエンジンが変わり、1966年から販売終了まで短期間生産された水冷エンジン型はL36と型式が変わりました。

なお、1963年11月と1966年10月のマイナーチェンジで段階的にメッキパーツの大型フロントグリルが採用され、軽商用車というより乗用車コンパーノにも似た堂々たるフロントマスクへと変わっています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ L35 ハイゼットトラック 1960年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,290×1,420
ホイールベース(mm):1,940
車重(kg):540
エンジン:ZL 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:13kw(17ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:28N・m(2.8kgm) / 3,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:3MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年10月現在)

本格キャブオーバートラック化、2代目S35P/S36P(1964-1968)

初代ハイゼットL35/L36型が後のダイハツ軽乗用車の源流ならば、本格的にダイハツ軽商用車の源流と鳴ったのは1964年4月に発売された2代目ハイゼットS35P型です。前項で書いたように、フェロー登場まで初代ハイゼットと併売されたため「ハイゼットキャブ」と車名が変わっており、ライバル同様フルキャブオーバー式でキャビンをボディ最前部に置き、ハイゼットトラックでも荷台が大幅に広くなりました。

1966年10月のマイナーチェンジで初代ハイゼット同様、水冷2ストロークエンジンZM型へ変更され型式もS36Pと変わっていますが、3代目へモデルチェンジする1968年まで少し長く販売されています。

荷台はリヤタイヤ部分が高い二段式低床の一方開き(最後部のみ開く)と、少し高さがあるものの出っ張りがない高床平床の三方開きがありました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S35P ハイゼットキャブトラック 1964年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,295×1,620
ホイールベース(mm):1,780
車重(kg):550
エンジン:ZL 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:15kw(21ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:32N・m(3.3kgm) / 3,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年10月現在)

太いヘッドライト枠で「巨泉ハイゼット」と言われた、3代目S37P(1968-1971)

当初からフルキャブオーバー式のみの販売となり、車名も「ハイゼット」へ戻った3代目ハイゼットトラックは1968年4月にモデルチェンジされて発売。角型ヘッドライトの周りは太く黒い枠で覆われていたことから、当時既に人気を誇っていた大橋巨泉のトレードマーク、黒縁メガネにちなんで「巨泉ハイゼット」とも呼ばれましたが、1969年9月のマイナーチェンジでヘッドライト枠の間が黒い線で結ばれ、ますます大橋巨泉のメガネっぽくなっているのが特徴です。

同じマイナーチェンジで、先代ハイゼットキャブ以来後ろヒンジ前開きのスーサイドドアだったのが、前ヒンジ後開きの通常ドアへ変更されましたが、当初から予定していた設計変更ではなかったため後期ドアのヒンジは外に露出しています。また、一方開きの荷台は二段式をやめ、リヤタイヤカバー部分のみが出っ張る全体的な低床荷台となりました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S37P ハイゼットトラック 平方3方開き 1968年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,295×1,620
ホイールベース(mm):1,680
車重(kg):525
エンジン:ZM 水冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:17kw(23ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:34N・m(3.5kgm) / 4,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年10月現在)

軽免許保有者のため360ccモデルが長期販売された4代目S38P/S40P(1971-1981)

4代目ハイゼットトラックは1971年9月に1BOXバン(1972年2月発売)より先行してモデルチェンジ。モデルライフが長いため規格改正にまたがって販売されることの多い軽トラの例にもれず、4代目ハイゼットトラックも360cc版(S38P)と、1976年4月発売の550cc新規格版(S40P)双方が販売されました。

特にS38Pは1BOX版のS38Vともども、当時はまだまだ限定解除せず多数が残っていた軽自動車免許(1968年まで。16歳から360cc軽自動車の運転が可能だった)の所有者向けに、5代目へモデルチェンジした後も1981年8月まで(つまり6代目初期とも)継続販売されていた、「最後の360cc軽自動車」の1台です。

550cc版もフロントバンパーの延長で全長がやや長くなり、現在まで続く軽自動車用ナンバーへの対応(それまでは白い小版ナンバーだった)などボディの変更は最小限で、狭い場所でも取り回しがよい小型ボディの軽トラとしては最後のハイゼットトラックとして、5代目と1980年4月まで併売されていました。

360cc版の後期は現在と同じサイズの黄色ナンバーでありながら360ccエンジンという希少なモデルゆえ、中古車市場でもわずかですが見かけられます。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S38P ハイゼットトラック 平方3方開き 1971年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,295×1,605
ホイールベース(mm):1,680
車重(kg):530
エンジン:ZM 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:19kw(26ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:36N・m(3.7kgm) / 4,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:55万~79万円(車両本体価格・2019年10月現在)

550cc時代に対応したワイド版、5代目S60P(1977-1981)

5代目ハイゼットトラックは4代目のボディを新規格対応のワイド版ボディとした550cc軽自動車初期にはよくあった過渡期のモデルで、「ハイゼット55ワイド」として4代目と併売されていました。

フロントマスクは1979年4月のマイナーチェンジでだいぶ変更され、キャビンのゆとりや荷台の大きさも拡大されていますが、4代目後期とほぼ同期間販売され、まだ4代目360cc版が販売されていた中でモデルチェンジされています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S60P ハイゼットトラック 1977年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×-
ホイールベース(mm):-
車重(kg):-
エンジン:AB20 水冷直列2気筒SOHC4バルブ
排気量:547cc
最高出力:21kw(28ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:39N・m(4.0kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年10月現在)

4WDや低床仕様、ジャンボが追加された「ハイゼットまゆげ」6代目S65P/S66P(1981-1986)

6代目ハイゼットトラックは1981年4月に登場し、当時軽自動車にも増えていた4WDモデル(1982年3月発売)を追加したほか、キャビンを後方まで拡大して後側方窓を設け、後壁に固定されたヘッドレストや背もたれではなく、乗用車並のリクライニングシートを設けた「ハイゼットジャンボ」を初設定(1983年10月)した初のモデル。

後にハイゼットジャンボは軽トラの中でも乗用に適した2シーターオフローダー的なSUVとして人気が出ますが、ライバルが同種のモデルをなかなか設定しない中、30年以上早く発売していたのは先見の明があったともいえて、後にハイゼットバンへ追加された「ハイゼットデッキバン」ともども、ライバルへの差別化に成功しています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S66P ハイゼットトラック 1981年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×-
ホイールベース(mm):1,810
車重(kg):-
エンジン:AB20 水冷直列2気筒SOHC4バルブ
排気量:547cc
最高出力:21kw(28ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:41N・m(4.2kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:19万~35万円(車両本体価格・2019年10月現在)

550cc時代から660cc時代へまたがって販売された7代目、S80P/S81P/S82P/S83P(1986-1994)

この代のみなぜか「ハイゼットピックアップ」名で販売された7代目ハイゼットトラックは1986年5月にモデルチェンジで登場、1990年4月に新規格対応で660cc版へ移行しました。それまでのハイゼットがユーモラスな親しみやすい顔つきとしていたのに対し、空力にも配慮したフラッシュサーフェス化で、特にヘッドランプが角型になった1988年10月以降のモデルはスッキリ精悍な顔つきになったのが特徴です。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S80P ハイゼットピックアップ スーパーデラックス 1989年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,745
ホイールベース(mm):1,810
車重(kg):690
エンジン:EB60 水冷直列3気筒OHC6バルブ
排気量:547cc
最高出力:22kw(30ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:44N・m(4.5kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:3万~45.8万円(車両本体価格・2019年10月現在)

旧規格ハイゼットトラック決定版の8代目、S100P/S110P(1994-1999)

1994年1月に8代目へとモデルチェンジし、ホイールベース延長で550cc時代以降の軽自動車で最小と言われた回転半径はやや犠牲になりましたが、高速安定性や操縦性は良好となり、加速性能など動力性能、静粛性改善、トラックへも3速AT追加と、乗用車ライクな軽トラへと近づきました。

モデル末期の1997年1月にはRVブームを意識してか、個人ユーザー向けに通常モデルとはフロントマスクやボディカラーの設定が異なる「ハイゼットトラック is(イズ)」を追加、個人ユーザーがスタイリッシュに乗りこなす軽トラを純正設定したという意味ではかなり初期のモデルです。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S100P ハイゼットトラック スタンダード 1994年式
全長×全幅×全高(mm):3,295×1,395×1,740
ホイールベース(mm):1,900
車重(kg):670
エンジン:EF-NS 水冷直列3気筒OHC6バルブ
排気量:659cc
最高出力:31kw(42ps) / 5,700rpm
最大トルク:55N・m(5.6kgm) / 4,500rpm
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:3万~58万円(車両本体価格・2019年10月現在)

新規格でもフルキャブオーバー型を維持した9代目、S200P/S210P/S201P/S211P(1999-2014)

現行の新規格軽自動車へ移行した9代目ハイゼットトラックは1999年1月にモデルチェンジして登場、ライバル他社がいずれも短いながらもフロントノーズを持つセミキャブ式で衝突安全基準に対応、1BOX版ハイゼットカーゴもノーズを持ったのに対し、ハイゼットトラックのみはわずかにシャシーフレーム部分をフロントで延長、キャビンのフロントへボリュームを与えたのみのフルキャブキャビンで衝突安全基準をクリアし、荷台容量を確保しました。

そのため大型ヘッドランプ採用以外は旧来の軽トラらしい見かけと使い勝手を堅持しましたが、防錆鋼板の広範にわたる採用などで品質はアップ、ハイゼットカーゴがモデルチェンジした後もエンジン変更(EFから新型のKFへ)と安全対策など小改良のみで15年以上も作り続けるロングセラーモデルとなっています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S200P ハイゼットトラック スペシャル 1999年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,780
ホイールベース(mm):1,900
車重(kg):700
エンジン:EF-SE 水冷直列3気筒SOHC6バルブ
排気量:659cc
最高出力:32kw(43ps) / 5,900rpm
最大トルク:57N・m(5.8kgm) / 3,600rpm
燃費:-
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:4.8万~138万円(車両本体価格・2019年10月現在・特装車除く)

最新の安全装備を実装した10代目、S500P/S510P(2014-)

15年以上のロングセラーモデルだった9代目ハイゼットトラックでしたが、さらなる進化をとげるため2014年9月にようやくモデルチェンジ、10代目S500P(FR)/S510P(4WD)となりました。

プラットフォームとキャビンを刷新、フロントガラス位置やステアリング角度変更、運転席シートスライド量アップなどで、ジャンボ以外のノーマルキャビンでも快適性を大幅に向上し、フロントサスペンションの見直しで操縦安定性も大幅に向上、4速AT追加やMTの5速ギアハイギアード化などで高速巡航性能も向上し、大幅な近代化が図られています。

特に近代化が進んだのは予防安全性能で、2018年5月に搭載されたステレオカメラ式衝突被害軽減ブレーキなど安全運転支援パッケージを搭載した「スマートアシストIIIt」は、軽トラで初の予防安全システム搭載となりました。

また、2010年代に入るといよいよMT車が少なくなったことや、SUVブームが高じて本格4WDが求められたこともあって、ハイゼットジャンボだけでなく通常モデルも含めてレジャー向けビークルとしてリフトアップ&大径タイヤを装着したカスタマイズ軽トラに人気が出ており、商用や農業用のみにとどまらない軽トラックの新たな価値観提供へ大きな役割を果たしています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S500P ハイゼットトラック スタンダード 2019年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,780
ホイールベース(mm):1,900
車重(kg):760
エンジン:KF-VE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:659cc
最高出力:34kw(46ps) / 5,700rpm
最大トルク:60N・m(6.1kgm) / 4,000rpm
JC08モード燃費:19.0km/L
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:38万~188万円(車両本体価格・2019年10月現在・特装車除く)

各代の新装備

初代 L35/L36

・2、3速シンクロ機構つき変速機
・オイルマチック(オイルとガソリンの自動混合機)
・水冷2ストロークエンジンZM型

初代ハイゼットトラックが登場した1960年頃というのは国産乗用車自体まだ初歩的なものしか存在しない時期で、トランスミッション(変速機)も本格的なAT(自動変速機)はまだほとんど存在しないどころか、MT(手動変速機)もダブルクラッチなど今から考えれば特殊な技術を要するノンシンクロミッションが実用車ではまだ当たり前という時期でした。

そのため2、3速にシンクロ機構を取り入れ、ただクラッチペダルを踏んでラフな変速も可能だった初代ハイゼットトラックのミッションは当時としては画期的であり、当初はフロアシフト、1961年10月にコラムシフトに変更された3速MTを搭載しています。

また、同じタイミングで既に軽3輪トラックMP5ミゼットで実績のあった「オイルマチック」を1961年10月に採用、搭載していた強制空冷2ストロークエンジンZL型は発売当初、ガソリンと2ストロークエンジンに不可欠なオイルを適正な割合で同時に給油してやる必要がある混合給油でしたが、別体のタンクに給油したオイルをポンプで適正な量だけガソリンへ自動的に混ぜる混合給油を実現した、日本初の2ストロークエンジン軽トラでした(初代スバル・サンバーより3年早い)。

なお、エンジンは1966年10月のマイナーチェンジで強制空冷式のZL型から、水冷式のZM型へ変更され、型式もL35からL36へ変更されています。

2代目 S35P/S36P

・4速MT
・水冷2ストロークエンジンZM型

1964年4月に発売された2代目では軽自動車初の4速MTを搭載、1966年10月には継続販売されていた初代同様水冷エンジン化され、型式がS35PからS36Pへと変わりました。

3代目 S37P

・橙色リアウインカー
・荷台補助席(客貨兼用車)

今では常識になっている自動車の赤いブレーキランプと橙色のリアウィンカーですが、当時は赤一色で、3代目ハイゼットトラックから初めてリアウインカーも橙色になりました。
また、キャビンの2名用座席とは別に通常は幌で覆われる荷台へ後方に向けた2名分の補助席を設置、着座部脇の幌にはビニール窓もついて、「客貨兼用車」としたモデルも設定されています。

4代目 S38P/S40P

・水冷4サイクル直列2気筒SOHC4バルブエンジンAB型(S40P)
・現行サイズナンバープレート対応

4代目ハイゼットの時代は現行モデルにも通じる根本的な改変が軽自動車に行われた時期で、ハイゼットトラックも1974年9月のマイナーチェンジでは現在も使われている黄色い軽自動車用ナンバープレートに対応した変更が行われました。

1976年4月には軽規格改訂(同年1月)により550ccエンジンが搭載可能となったため、新開発の水冷4ストローク550cc直列2気筒エンジンAB型を搭載したS40P型が登場、まだまだ多かった軽自動車免許のみ所有しているユーザー向けに、従来の360cc版S38Pも1981年まで継続販売しています(1968年9月以降の軽自動車免許は360cc限定だったため)。

5代目 S60P

実質、4代目S40Pの軽自動車550cc新規格対応ボディ版として登場、S40P後期と併売されていた5代目S60Pでは目立った新装備はありません。

6代目 S65P/S66P

・4WD(パートタイム式)
・クーラー
・拡大キャビン(ジャンボ)

6代目では1982年3月、ライバル他社の軽トラとほぼ同時期に4WDが追加され、さらにオプションでクーラーが追加されるなど、だいぶ現在のハイゼットに近い形となりました。なお、4WD登場までの短期間ですが、悪路走破性を高めるためギア比をローギアード化したローギアードオプションも存在しています。

また、この代で初めて「ハイゼットジャンボ」が登場、キャビンを後方まで拡大してシートリクライニングを可能とし、快適性を大幅に向上させました。

7代目 S80P/S81P/S82P/S83P

・スーパーチャージャー
・水冷4サイクル550cc直列3気筒SOHC6バルブエンジンEB型(S80P/S81P)
・水冷4サイクル660cc直列3気筒SOHCエンジンEF型(S82P/S83P)

7代目ではエンジンが新型の3気筒エンジンEB型となり、低速から粘り強いトルクアップ仕様のスーパーチャージャーエンジンも1987年9月に追加されましたが、実は「エアコンコンプレッサーと二者択一」でしかスーパーチャージャーを搭載できなかったため、翌年夏以降にエアコンがオプションでも搭載できないことに対する苦情が殺到したというエピソードもあり、二度と採用されることはありませんでした。

結局、エンジンは1990年1月の軽規格改訂で同年4月より660cc版のEF型へ換装され、SOHC6バルブ・キャブレター版(EF-CS、EF-NS)とSOHC12バルブ・EFI版(EF-ES)が搭載されています。

8代目 S100P/S110P

・オートマ(3AT)
・DOHCエンジン(EF-GS)
・超拡大キャビン(スーパージャンボ)

8代目ではハイゼットバンに続き、ついにハイゼットトラックにも3速ATが搭載され、1997年10月には個人ユーザー向けの豪華仕様「is」向けに電子制御キャブレター式DOHC12バルブエンジン「EF-GS」も搭載されました。

同時に、キャビンの広さが好評な「ハイゼットジャンボ」に、特装車として「ハイゼットスーパージャンボ」が設定され、さらに後方に広げたキャビンを採用しています(後側方窓はなし)。

9代目 S200P/S210P/S201P/S211P

・ブレイクアウェイ・ステアリングコラム
・衝撃吸収ウレタンステアリング
・防錆鋼板
・衝突安全ボディ
・新型エンジン(SOHC6バルブEFI:EF-SE型、DOHC12バルブEFI:EF-VE型)
・スーパーデフロック(4WD車)
・クラッチスタートシステム(MT車)
・電動パワーステアリング
・デュアルSRSエアバッグ
・新型エンジンKF-VE(S201P/S211P)

1998年10月からの軽自動車新規格に対応した9代目ハイゼットは、初期に安全性能および耐久性向上に関する改良を受け、フルキャブボディながら衝突安全ボディ(ただしトラックはフルラップ衝突対応のみ)と、衝突時にドライバーの衝撃を受け止めるブレイクアウェイ・ステアリングコラムや衝撃吸収ウレタンステアリングを装備し、デュアルSRSエアバッグもグレードにより標準またはオプション化。さらにキャビンは元より一部グレードでは荷台までわたる広範囲へ防錆鋼板を採用しました。

エンジンは初期にEF系の新型エンジンへ換装されて全てEFI(電子制御インジェクションのトヨタ系名称)化されたほか、2007年12月のマイナーチェンジでさらに新型の高効率DOHCエンジンKF-VEへ統一され、型式もS200P/S210PからS201P/S211Pへ変更。

ほかにフルタイム4WD化による4WD車へのスーパーデフロック機構(センターデフロック機構)による悪路走破性強化や、MT車へのクラッチスタートシステム搭載による安全性強化、電動パワーステアリング採用(2004年12月)によるエンジン効率化などが実行されています。

10代目 S500P/S510P

・e:sテクノロジー(高効率化)
・電子制御4速AT
・高張力鋼板(オフセット衝突対応)
・EBD機能付きABS
・電波式キーレスエントリー
・副変速機(MT車)
・LEDヘッドランプ
・予防安全システム「スマートアシストIIIt(スマアシIIIt、SAIIIt)」
・VSC&TRC(横滑り防止装置&空転防止装置)

約15年ぶりのフルモデルチェンジとなった10代目では一気にハイテク装備が進み、高効率化のためダイハツ独自の技術「e:sテクノロジー」が適用されてエンジン単体でも効率化されたほか、AT車の電子制御4速AT化、5速MT車の5速ギアハイギアード化およびオプションで副変速機装備による巡航時の大幅な燃費改善&排ガス低減を行いました。

安全装備面でも高張力鋼板を広範に使用した新型衝突安全ボディで待望のオフセット衝突対応を実現したほか、EBD機能付きABSやVSC&TRCをグレードによって標準またはオプション装備し、安全性能を大きく向上。

特に2018年5月の改良で標準、またはオプション搭載可能となった予防安全装備「スマートアシストIIIt」は、衝突被害軽減ブレーキや誤発進防止装置などをパッケージ化した乗用車用のスマートアシストIIIを軽トラックの乗用速度域に合わせて最適化したもので、軽トラとしては日本初装備です。

ほかに電波式キーレスエントリーや、これも軽自動車初装備のLEDヘッドランプなどが採用され、大幅に増加したボディカラーとあわせ、実用性の高さばかりが注目されがちな軽トラに自家用、レジャー用としての用途も可能な快適性の高さや個性の充実が図られています。

派生車

ダイハツ L50P ニューライントラック(初代へ800ccエンジンを搭載した小型登録車版)

初代ハイゼットトラックへ小型乗用車コンパーノ用の水冷4サイクル797cc直列4気筒OHV8バルブエンジンFE型を先行搭載、ホイールベースを延長し荷室も大幅延長、最大積載量を350kgから500kgへと増加させた小型登録車版で、1962年11月から1966年1月まで販売されていました。

ダイハツ S50P ニューラインキャブ(2代目へ800ccエンジンを搭載した小型登録車版)

1964年4月にキャブオーバー化した2代目ハイゼットトラックが登場すると、1966年2月にニューラインもキャブオーバートラックボディ(初代にあったライトバン仕様はなし)をベースに800ccエンジンを搭載した「ニューラインキャブ」へとモデルチェンジ。1968年3月まで販売されていました。

軽キャブオーバートラックの設計をベースに拡大型を作ったという意味では、現在のダイハツ・グランマックストラック(日本ではトヨタ・タウンエーストラック/ライトエーストラック)のご先祖様のような車です。

ダイハツ L37PB フェローバギィ(フェローピックアップ/ハイゼットトラックベースのサンドバギー)

型式からも軽乗用車フェローのトラック版、フェローピックアップ(L37P)がベースとされていますが、資料によっては姉妹車ハイゼットトラックがベースと言われることもあるサンドバギー。

ラダーフレームへバスタブ状FRPボディを載せたサンドバギーで、当時アメリカなどで流行していたVWビートルをベースとした改造デューンバギーに影響されたと思われますが、ホンダ・バモスホンダやいすゞ・ユニキャブ同様に4輪駆動の普及やRVブーム以前の早すぎたレジャー車のひとつで、100台限定販売で100台も売れなかったとも言われています。

ハイゼットジャンボ/ハイゼットスーパージャンボ(7代目のみ)(6代目~)

ハイゼットトラックのキャビンを拡大、運転席/助手席後部へスペースを作ってリクライニング可能としたもので、リクライニングスペースとしての活用のほか、荷台では雨に濡れて困る小荷物や工具類などを置いておくこともできました。7代目S100P/S110Pには、さらにキャビンを後方へ拡大した「スーパージャンボ」もあります。

ダイハツ・K100P/K100C ミゼットII(ハイゼットトラックがベースのミニトラック)

8代目ハイゼットトラックのエンジンやパワートレーンをベースに、1人乗り/並列2輪乗りの超小型軽ピックアップトラック/カーゴとして開発されたのがミゼットIIです。

オート3輪時代のミゼットを思わせる超小型ボディに愛らしいデザインをほどこした一種のパイクカーで、ダイハツの工場で技術に秀でた職人を養成するため特別な工房(通称「ミゼット工房」)で半ば手作業で生産されるという職工技術維持用の特殊な車でもありました。

1996年から2001年まで生産・販売された後、手作業での生産技術養成施設は初代コペンの生産に転じて維持され、2代目の現在もコペンファクトリーとして現存する、その元祖となったのがミゼットIIです。

初代~トヨタ・ピクシストラック(9代目~10代目のトヨタOEM販売モデル)

9代目途中の2011年12月から、トヨタの軽自動車ブランド「ピクシス」へのOEM供給を開始し、「ピクシストラック」として販売しています。

7代目~スバル・サンバートラック(9代目~10代目のスバルOEM販売モデル)

スバルが6代に絵わたり長年販売していた軽トラック「サンバートラック」の自社生産を終了したことに伴い、7代目以降のサンバートラックは2012年4月からダイハツより9代目以降のハイゼットトラックをOEM供給し、スバルで販売することになりました。

ピアッジオ・ポーター(イタリアのピアッジオ版。日本未発売)

7代目S82系660cc版ハイゼットをベースにイタリアのピアッジオ車でライセンス生産していた小型商用車で、EV版の追加など独自に進化をとげた現行モデルが現在も生産中。トラック版もあります。

ダイハツ・ゼブラ マスター(インドネシアのアストラダイハツ版小型車。日本未発売)

7代目ハイゼットをベースにやや排気量の大きなエンジンを搭載し、東南アジアなど新興国向けとして登場した小型商用車「ゼブラ」のトラック版で、1996年には8代目S100P系をベースとした2代目へモデルチェンジ。さらにモデルチェンジしたのが現行モデルのグランマックスです。

ダイハツ・グランマックス(インドネシアのアストラダイハツ版小型車。日本未発売)

インドネシアのアストラダイハツで開発・生産されていた軽商用車で、トラック版は駆動系や足回りなどが9代目ハイゼットトラックをベースとしており、エンジンは1.3~1.5リッターエンジンを搭載しています。

トヨタ・タウンエーストラック(4代目)/ライトエーストラック(6代目)(グランマックスの国内トヨタ版)

グランマックスは日本国内のダイハツでは販売されていませんが、トヨタでライトエース/タウンエースのトラック版の国内生産(ダイハツが担当)が終了したため、後継車としてグランマックスをトヨタへOEM供給する形で国内販売しています。

ダイハツ・ハイマックス(インドネシアのアストラダイハツ版小型車。日本未発売)

グランマックス・トラックの後継としてインドネシアのアストラダイハツが10代目ハイゼットトラックの駆動系や足回りをベースに開発した小型トラックです。いずれ日本でも次期タウンエーストラック/ライトエーストラックとして販売されるかもしれません。

次期モデル大予想

ハイゼットトラックは乗用モデルのアトレーを伴うハイゼットカーゴと異なり、また最近ではレジャー向けピックアップトラック用途も増えたとはいえ、基本的には商用軽トラックです。

軽商用車の需要が激減してライバルが次々と撤退した状況の中では早期にモデルチェンジする必要もなく、2014年のモデルチェンジから9代目同様に15年ほど作るとなれば次のモデルチェンジは早くても2030年頃、その頃までに軽自動車というカテゴリーが存在するかどうかすらもわかりません。

しかし、農業用、商用などに軽トラが必要なことはそうした遠い未来においても変わりはなく、その時期において最良の小型内燃機関(おそらくガソリンエンジン)を搭載し、あるいは技術の進歩がそこまでいたればモーター駆動のEV(電気自動車)版が登場していることでしょう。

特に農業用など長距離・高速走行を要しない割に、車体の割に重い貨物を載せる用途では短時間・短距離でも大トルクを発揮できて、駆動力配分の容易さで悪路走破性も良好にできるモーターとの相性はよいので、これまでバン(カーゴ)にしか設定されてこなかったハイゼットトラックEVの登場には大いに期待できますし、モデルチェンジがだいぶ先だと予想されることを考えると、現行の10代目のうちに実現するかもしれません。

ただしEVはバッテリー重量が課題で、小径タイヤにより取り回しのよさを確保し、軟弱な地盤でも活躍できる軽トラへの最大積載量を犠牲にしない採用、特に現在の低価格を維持しながらの採用には今しばらく時間がかかることでしょう。

ヨーロッパにはフランスを中心に「クワドリシクル」という日本の軽自動車に相当する超小型車が存在し、クワドリシクル版トラックも存在することから、次期ハイゼットは国際市場で活躍する国際戦略車となることも考えられます。

また、乗用車の価格が年々高騰する上に若年者所得は逆に低下していることを考えると、最低2名と荷物が乗ればよい個人向けのパーソナル・モビリティ(超小型車)として、軽トラは案外向いているかもしれず、遠い未来に登場が予想される11代目ハイゼットトラックは、公共交通機関が発達していない地方において「最後の国民車」となる可能性も捨てられません。

そうした未来が10年なり15年後なりに訪れるまでは、予防安全性能の向上やパワーユニットの低公害化、電動化などの改良を受けつつ、現行の10代目が長く作り続けられることでしょう。