スズキ

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スズキ パレット 人気のスペーシア以前に登場した、スズキ初の軽スーパーハイトワゴン

2代目にしてようやくスペーシアを販売ランキング上位で安定させたスズキですが、それ以前はライバルに対してなかなか太刀打ちできずに販売台数でも中途半端な位置にいるのが常でした。どうもライバルの動向を見る限りフロントマスクが地味すぎたのかもしれませんが、初代スペーシアのさらに先代にあたるパレットなど、機能的には非常に意欲的な軽スーパーハイトワゴンだったのです。

各代の概要や時代背景

パレット前史:軽スーパーハイトワゴン市場へ参入した頃のスズキ

長らく軽自動車販売No.1を誇ってきたスズキが、さらに軽自動車界へ革命を起こしたのは1993年、軽トールワゴンの初代ワゴンRを発売した時でした。

高いルーフを備えて車内にゆとりを持たせる軽トールワゴン自体はそう目新しいものではなく、古くはホンダ・ライフステップバン(1972年発売)、ワゴンR発売時にも三菱・ミニカトッポ(1990年初代発売)が存在しましたが、初代ワゴンRが売れたのはデザインのほかに、着座位置を高くして、高く上げたルーフで頭上をスカスカにするのではなく、アイポイントを上げての視界向上や縦方向にスペースを使って前後方向のスペース効率を上げたという要因があったのです。

初代ワゴンRの大ヒットを見たライバル各車は次々に「ワゴンRフォロワー」というべき軽トールワゴンを発売しますが、もとより軽自動車販売No.1だったスズキ車という安心感や、急造のライバルと異なる完成度の高さもあってワゴンRは代を重ねてもベストセラーであり続けていました。

しかし2003年、ダイハツがワゴンRおよびワゴンRフォロワーの軽トールワゴンよりさらに背の高い「軽スーパーハイトワゴン」の初代タントを発売、販売台数トップを奪うまでには至らなかったものの、軽トールワゴンのムーヴと合わせればワゴンRを抜く販売台数を記録しており、その一方でスズキにはワゴンR以外の売れ筋モデルが不足します。

さらに、スズキから軽自動車のOEM供給を受けている日産も、ピノ(スズキ・アルト)やモコ(同・MRワゴン)の販売台数は今ひとつで、スズキ自身のためにも、OEM供給相手のためにもダイハツの牙城を崩したいところです。そこでタントのような軽スーパーハイトワゴンを後追いするだけでなく、タントにない機能面での優位を盛り込んだ新型車パレットを開発、後に日産やマツダにもOEM供給することとなりました。

初の両側スライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴン誕生、初代MK21S(2008-2013)

スズキの新型車「パレット」は、最大のライバルである2代目ダイハツ・タントともども2007年11月の東京モーターショーに出展され、先に2代目タントが同年12月に発売後、翌2008年1月にパレットも発売されて、真っ向からの戦いが始まりました。

2代目タントが助手席側のBピラーを新たに装備した後席スライドドアへ組み込むビルトインBピラーを採用、90度開く助手席ドアと合わせ広大な開口部を設けた「ミラクルオープンドア」を採用したのに対し、パレットは1BOXタイプではない軽自動車としては初めて後席両側スライドドアを採用(運転席/助手席用としては550cc時代のスズキ・アルトスライドスリムがある)。

「ミラクルオープンドアと後席両側スライドドア、勝つのはどっちだ?!」と真っ向勝負になりましたが、フタを開けてみると2008年度(2008年4月~2009年3月)以降、軽自動車販売2~4位の上位をキープし続けた2代目タントに対し、パレットは6~9位にとどまる惨敗を喫してしまいます。

後席両側スライドドア自体は3代目以降のタントや、2011年に発売されたホンダ・N-BOXなど軽スーパーハイトワゴンの必須装備になっていったので優位性は明らかでしたが、パレットには軽自動車のみならず登録車(小型車・普通車)でもミニバンやトールワゴンなら必須な、純正カスタムモデルがなく、おとなしいフロントマスクの通常版しかありませんでした。

さらにターボ車は60馬力のマイルドターボ(Mターボ)で、自主規制値いっぱいの64馬力を発揮するライバルに対し、パワー不足のイメージを持たれたかもしれず、2009年9月にはワゴンRなどより先行させて新型の副変速機つきCVTを投入、ターボ車を通常の64馬力仕様とするなど装備や性能面でテコ入れ。

純正カスタムモデルも「パレットSW」を追加するものの販売台数は浮上せず、2011年に初代ホンダ・N-BOXが発売されるとともに下降していったのを考えると、パレットSWでも目つきが鋭い程度で大型メッキグリルを持たないなど、アグレッシブデザイン車の不在が最後まで響いたといえます。

ただし、その間も軽自動車販売のトップは2011年度までワゴンRが独走しており、2012年度以降のN-BOX独走と、それに引きずられるようにタントも販売台数を伸ばし、ワゴンRのシェアが低下していくのを見るまで、スズキはあまり本気で軽スーパーハイトワゴンのシェアを気にしていなかったのかもしれません。

実際、パレットの後継として登場した初代スペーシアは、一応「スペーシアカスタム」も発売したもののフロントマスクにアグレッシブさが欠けており、パレット同様に大苦戦。ようやく軽スーパーハイトワゴン市場で安定した販売台数を稼ぎ出すのは、2017年に2代目スペーシアを発売するまで待たねばなりませんでした。

仮にパレットSWへ大型メッキグリルを採用するなど、後のN-BOXを先取りするようなデザインであれば、もっと早くスズキがこの分野でトップになれたかもしれないと考えると、なにかと惜しい一台です。

代表スペックと中古車相場

スズキ MK21S パレット TS 2008年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,735
ホイールベース(mm):2,400
車重(kg):940
エンジン:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
排気量:658cc
最高出力:44kw(60ps)/6,000rpm
最大トルク:83N・m(8.5kgm)/3,000rpm
10・15モード燃費:18.6km/L
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:4AT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場:0.1万円~98万円(車両本体価格・2019年12月現在)

スズキ MK21S パレットSW TS 2009年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,735
ホイールベース(mm):2,400
車重(kg):960
エンジン:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
排気量:658cc
最高出力:47kw(64ps)/6,000rpm
最大トルク:95N・m(9.7kgm)/3,000rpm
10・15モード燃費:20.0km/L
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場:1万円~118万円(車両本体価格・2019年12月現在)

各代の新装備

初代MK21S

・後席両側スライドドア(ボンネット型軽自動車初)
・電動スライドドア
・サイドエアバッグ
・サイドカーテンエアバッグ(軽自動車初)
・キーレスプッシュスタートシステム
・オートライト
・Hi-Lo2段切替式副変速機付きCVT
・アイドリングストップ

デザイン面で存在感をアピールしにくかったパレットですが、装備面も見ると充実しており、後の軽スーパーハイトワゴンの要素を先取りした車だということがわかります。

まず後席両側スライドドアは1BOX車を除けば軽自動車で初採用ですが、今や軽スーパーハイトワゴンのみならず、登録車のハイトワゴンでも当たり前の装備であり、電動スライドドアも2代目三菱・ekワゴンに次ぐ採用です。

安全面でも運転席&助手席デュアルエアバッグはもちろん、最廉価グレードを除けば全車標準装備のサイドエアバッグや、上級グレードに標準装備だったサイドカーテンエアバッグ(これも軽自動車初)と充実。その他、キーレスプッシュスタートシステムやオートライト、ハイグレードサウンドシステムなど、当時としては軽自動車の枠を超えるような先進、あるいは豪華装備が搭載されており、高価格高付加価値軽自動車の先駆けだったともいえます。

2009年9月には従来の4ATからHi-Lo2段切り替え式副変速機を備え、限られた容量で変速幅を大幅に拡大した新型のCVT(無段変速機)が搭載されるようになり、2010年5月には全車このCVTとなって4速ATは廃止されたほか、モデル末期の2012年6月にはアイドリングストップ搭載車も設定され、燃費向上努力は最後まで続けられました。

派生車

日産・ルークス / ルークスハイウェイスター

(OEM供給車)
スズキからパレットのOEM供給を受け、2009年12月に発売された日産初の軽スーパーハイトワゴンで、通常版のルークスと、パレットSWに相当するルークスハイウェイスターが販売されました。しかしパレット同様に販売台数は悪くはないもののいまひとつで、日産はスズキから軽乗用車のOEM供給を打ち切ったため、後継車は三菱と共同で企画・開発したデイズルークス(三菱・ekスペース)になりました。

マツダ・フレアワゴン

(OEM供給車)
ルークス同様にマツダがパレットのOEM供給を受けて販売した同社初の軽スーパーハイトワゴンですが、ルークスと異なりパレットSWに相当する純正カスタム車の供給は受けず、発売も2012年6月とモデル末期のため、わずか9ヶ月ほどしか販売されませんでした。ただし、日産と異なりマツダはその後もOEM供給を受けてフレアワゴンを継続したため、2代目(初代スズキ・スペーシア)を経て、3代目(2代目スペーシア)が現在も販売されています。

中古車市場での動向

パレットがどのような評価を受けた車だったかは、中古車市場にも現れています。

パレット:0.1万円~98万円・1,351台
パレットSW:1~118万円・848台

2代目タント:0.1~138.5万円・2675台
2代目タントカスタム:1~127万円・2,775台

同時期の2代目ダイハツ・タントと比較した場合、価格はだいぶ低めで流通台数も少なく、修復歴があったり走行距離が長すぎるなど程度の悪い車ではともかく、程度がよくてもパレットではあまり高値がつけられない状態です。1代限りでスペーシアへと改名してしまったため知名度が低いことも大きな要因で、タントカスタムほどアグレッシブさがないのも理由のひとつでしょう。

ただし、現在の軽スーパーハイトワゴンでは当たり前となっている後席両側スライドドアを早々に採用していたり、エアバッグを多数装備しているなど衝突安全への配慮もあって、年式の割には充実した車のため、安価に購入して満足できる車という意味では、タントを上回る価値があると考えられます。

知名度の低さから今後も再評価されて価格が高騰するようなことはないので、「とにかく安くてなるべく程度のよい後席両側スライドドア車が欲しい」というユーザーであれば、検討する余地は大いにあると思います。