ダイハツ

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ダイハツ・ハイゼットカーゴ – 日本でわずか2種類となった軽1BOX商用車の最古参

この記事の目次

かつて多くのメーカーで生産されていながら、今や日本ではたった2種類。販売しているメーカーは多くともほとんどはOEM供給された車ばかりで、軽1BOX商用車を生産しているのはダイハツとスズキだけになってしまいました。その一方の雄、ダイハツが生産・販売している軽1BOX商用車が、ダイハツ・ハイゼットカーゴです。

各代の概要や時代背景

総合解説:軽自動車黎明期に登場、現在まで続くハイゼットカーゴ

日本では戦前から「オート三輪」と呼ばれる3輪トラックが個人事業主や中小企業の貨物運搬手段として大活躍していましたが、太平洋戦争を挟んで戦後になり、自動車メーカーが現在まで続く自動車づくりを始めた頃も、簡便で安価なオート3輪は多くの需要がありました。

そのため、軍需産業から民需へ転換した企業も含め数多くのメーカーがオート三輪へ参入しましたが、そのレベルはまさに玉石混交。生き残るにはやはりそれなりに注文をさばく生産力と販売網を持つ大手でなければならず、戦前以来オート三輪の名門メーカーだったダイハツやマツダが大きなシェアを誇ります。

特に軽自動車規格ができてからは、360ccまでの軽オート三輪が登場、名車K360を作っていたマツダとともに、ダイハツも名車「ミゼット」を作り、戦後の大衆文化へ大きな影響を与えていました。

しかし、戦後の日本のの夜中がだいぶ落ち着きを取り戻し、ある程度は豊かになってくると、それまでオート三輪が担っていた小型貨物自動車の分野にも四輪自動車メーカーが進出してくるようになり、トヨタ・SKBトラック(後のトヨエース)など安価な四輪トラックが登場するとオート三輪メーカーは押され始め、軽オート三輪の分野でも軽四輪貨物車、いわゆる「軽トラック」や「軽バン」が出てきて、オート三輪メーカーは廃業するか四輪車への転換を迫られます。

ダイハツも1958年に初の四輪トラック「ベスタ」で四輪車市場へ参入すると、いずれミゼットに代わることとなる軽四輪商用車「ハイゼット」を開発、1960年から軽四輪自動車市場へ参入し、当初トラックのみのラインナップだったものが、1961年にはバンも追加したのがハイゼットカーゴの始まり。

当時同じ用にオート三輪メーカーから四輪メーカーへと転身を図った企業はいくつかありましたが、成功した上で現在も小型車や軽自動車を中心とした自動車メーカーとして存続しているのはダイハツのみであり(同じような小型車や軽中心のスズキはオート三輪を作らず、二輪からの参入)、その意味ではハイゼットカーゴ(ハイゼットバン)やハイゼットトラックこそが、現在のダイハツの原点であり、中興の祖と言えます。

ダイハツ初の2BOX軽四輪車、初代L35V/L36V(1961-1967)

ハイゼットカーゴの源流となる初代ハイゼットバンは、1960年11月に発売されていたハイゼット・トラックから半年遅れの1961年5月に発売。

トラック同様、現在のキャブオーバースタイル(フロントエンジンの上に運転席や助手席がある)なハイゼットとは異なりエンジンが収まるフロント部後方にキャビン、その後ろに荷台(荷室)というボンネットトラック/バン方式で、2BOXスタイルのボディ後半、運転席/助手席の後ろが左右窓つきの荷室で後部ハッチから荷物を出し入れする「ライトバン」と、トラックの荷台に当たる部分へ荷物を詰め込む箱を載せた「パネルバン」がありました。

型式の頭に「L」がつくことからもわかる通り、現在までの「L」や「LA」が型式の頭につくダイハツ軽乗用車シリーズの元祖的存在で、中でも2BOXタイプで折畳式の後席もあり最大4人乗車が可能な初代ハイゼット・ライトバンは、現在のミライースなど2BOXタイプダイハツ軽乗用車の初代モデルでもあります。

当初は縦のスリット(溝)が何本か入るだけでアッサリしていたフロントグリルでしたが、1963年のマイナーチェンジでダイハツの小型自動車「コンパーノ」とよく似たデザインのメッキグリルへ変更され、1966年にはさらにグリルが大型化。さらに1966年のマイナーチェンジでは空冷だった2サイクル2気筒360ccエンジンZL型を、水冷に改良したZM型へ更新。

後述するように1964年にはキャブオーバースタイルの2代目ハイゼットが登場していましたが、軽ボンネットトラック/バンの需要もあったようで初代ハイゼットは1967年まで2代目と併売され続け、初代フェロー・ピックアップ/フェロー・バンと交代する形で生産終了しました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ L35VD ハイゼット ライトバンデラックス 1961年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,290×1,435
ホイールベース(mm):1,940
車重(kg):-
エンジン:ZL 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:13kw(17ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:28N・m(2.8kgm) / 3,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:3MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:110万円(2019年11月現在)

ダイハツ初のキャブオーバー式軽1BOXバン、2代目S35V/S36V(1964-1968)

前述のように軽ボンネット・トラック/バンとして登場した初代ハイゼットでしたが、その頃にはくろがね・ベビーやヤンマー・ポニーがキャブオーバー型軽貨物車として登場しており、1961年には初代スバル・サンバーも登場するなど、どうやら軽貨物車の主流は運転席/助手席をフロント先端へ配置できるため、荷台(荷室)が広いキャブオーバー型になりそうでした。

ボンネット型で四輪車へ進出したダイハツやコニー(愛知機械工業)、マツダなどにとっては少し出遅れた形となりましたが、ダイハツも2代目ハイゼットをキャブオーバー型として開発、初代ハイゼットも併売していたため「ハイゼットキャブ」の名で1964年4月に発売します。

荷室側面ドアがスライドドアではなく通常のヒンジ式、さらにヒンジが露出しているなど未成熟な部分はあったものの、ここでようやく現代まで続くハイゼットカーゴの原型ができました。

なお、当初は初代ハイゼット同様に空冷エンジンでしたが、1966年のマイナーチェンジで水冷エンジンに代わっているのも初代ハイゼットと同じです。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S35V ハイゼットキャブバン 1964年式
全長×全幅×全高(mm):2,995×1,290×1,625
ホイールベース(mm):1,780
車重(kg):590kg
エンジン:ZL 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:15kw(21ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:32N・m(3.3kgm) / 4,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

太いヘッドライト枠の「巨泉ハイゼット」バン、3代目S37V(1968-1971)

フルモデルチェンジで3代目となり、初代ハイゼットも生産終了していたため当初から車名も「ハイゼット」となった3代目ハイゼットバンは1968年4月に発売。

角型ヘッドライトの周りは太く黒い枠で覆われていたことから、当時人気を誇っていた大橋巨泉のトレードマーク、黒縁メガネにちなみ「巨泉ハイゼット」と呼ばれ、1969年9月のマイナーチェンジでヘッドライト枠の間が黒い線で結ばれたため、さらに大橋巨泉のメガネっぽくなっているのが特徴です。

マイナーチェンジでは、先代ハイゼットキャブ以来の後ろヒンジ前開きのスーサイドドアが、前ヒンジ後開きの通常ドアへ改められ、Bピラー上部へサイドターンシグナルランプが標準装備されました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S37V ハイゼットバン スーパーデラックス 1968年式
全長×全幅×全高(mm):2,990×1,290×1,570
ホイールベース(mm):1,680
車重(kg):580
エンジン:ZM 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:17kw(23ps) / 5,000rpm(※グロス値)
最大トルク:34N・m(3.5kgm) / 4,000rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

軽免許保有者のため360ccモデルが長期販売された4代目S38V/S40V(1972-1981)

4代目ハイゼットバンは1972年2月、トラック(1971年9月先行モデルチェンジ)より3ヶ月遅れて発売。モデルライフ途中で排気量上限が550ccへ引き上げられる軽自動車規格改訂があったため、4代目は360cc版(S38V)と、1976年4月以降は550cc新規格版(S40V)も併売されました。

特にS38Vはトラック版のS38Pともども、当時はまだまだ限定解除せず多数が残っていた軽自動車免許(1968年まで。16歳から360cc軽自動車の運転が可能だった)の所有者向けに、5代目へモデルチェンジした後も1981年8月まで継続販売されており、「最後の360cc軽自動車」の1台です。

後述する5代目が1977年6月から1981年4月まで販売されていた一方で、4代目550cc版のS40Vも1980年4月まで販売されていたため、5代目登場から4代目550cc版が販売終了するまでの期間は「4代目360cc版」「4代目550cc版」「5代目」と、3つのハイゼットバンが併売されていたことになり、規格改訂時の混乱がうかがえます。

550cc版はフロントバンパーの延長で全長がやや長くなり、現在まで続く軽自動車用ナンバーへの対応(それまでは白い小版ナンバーだった)などボディの変更は最小限で、狭い場所でも取り回しがよい小型ボディの軽バンとして需要が尽きなかったのかもしれません。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S38V ハイゼットバン 1972年式
全長×全幅×全高(mm):2,995×1,295×-
ホイールベース(mm):1,680
車重(kg):530
エンジン:ZM 強制空冷直列2気筒2ストローク
排気量:356cc
最高出力:19kw(26ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:36N・m(3.7kgm) / 4,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

550cc時代に対応したワイドボディの5代目S60V(1977-1981)

5代目ハイゼットバンは4代目を新規格対応のワイド版ボディとしたもので、550cc軽自動車初期にはよくあった過渡期のモデル。「ハイゼット55ワイドバン」として4代目バンと併売されますが、1981年4月に6代目が登場したことで生産終了したため、1981年8月まで販売されていた4代目360cc版より短命です。

キャビンのゆとりも拡大したためか、フロントマスクがマイナーチェンジでだいぶ変更された1979年4月には乗用に適した快適装備を追加、後の「アトレー」の始祖的なモデルである「カスタムEX」グレードが追加されています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S60V ハイゼットバン 1977年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×-
ホイールベース(mm):-
車重(kg):-
エンジン:AB20 水冷直列2気筒SOHC4バルブ
排気量:547cc
最高出力:21kw(28ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:39N・m(4.0kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

4WDが追加された6代目S65V/S66V(1981-1986)

6代目ハイゼットバンは1981年4月に登場、当時軽自動車にも増えていた4WDモデルを1982年3月に追加し、現在まで続く2WDと4WDのラインナップがここで登場したほか、先代のハイゼットバン・カスタムEXの後継として、乗用向けモデル(登録は商用=4ナンバー)の「ハイゼットアトレー」もここで初めて登場しました。

なお、1983年10月のマイナーチェンジでハイゼットアトレーが「アトレー」として独立して現在のアトレーワゴンに至る独自の進化を始めたほか、ハイゼットバンもエアコンがメーカーオプションで装着可能になっています。

また、荷室は低床仕様と平床仕様があり、低床仕様はエンジンの張り出しが大きく、平床仕様はそれがない代わりに後席を使った際の足元スペースの床が異常に高くて乗りにくく、乗降にも内蔵のステップを要するなど不便がありましたが、マイナーチェンジで平床仕様の足元スペースが低くなるよう改善されました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S65V ハイゼットバン 1981年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,835
ホイールベース(mm):1,820
車重(kg):-
エンジン:AB20 水冷直列2気筒SOHC4バルブ
排気量:547cc
最高出力:21kw(29ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:44N・m(4.5kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

途中で660cc時代となった7代目、S80V/S81V/S82V/S83V(1986-1994)

7代目ハイゼットバンはは1986年5月にモデルチェンジで登場、エンジンが初代以来続いた2気筒エンジンから3気筒エンジンへ変わりましたが、1990年4月には新規格への対応で660cc版へ移行しました。

それまでのハイゼットがとは異なり、空力にも配慮したフラッシュサーフェス化やガラス面積の拡大などでシュッと引き締まったスタイルになった一方、荷室の広さが若干犠牲になってしまったのが問題で、スライドドアの窓を上下昇降式にしたり、リアハッチにガラスハッチを設けるなど工夫はしたものの、根本的な使い勝手に課題を残すモデルとされています。

なお、この代で初めてハイゼットデッキバンが登場、後にライバルからも類似車の存在した時期はあったものの、今ではハイゼットカーゴ(と、そのOEM版スバル・サンバーバン)のみの特徴あるモデルとなりました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S80P ハイゼットバン スーパーデラックス 1989年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,820
ホイールベース(mm):1,810
車重(kg):700
エンジン:EB60 水冷直列3気筒OHC6バルブ
排気量:547cc
最高出力:22kw(30ps) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:44N・m(4.5kgm) / 3,500rpm(同上)
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:4MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:皆無(2019年11月現在)

旧規格最後のハイゼットバン、8代目S100V/S110V(1994-1999)

8代目ハイゼットバンは1994年1月のモデルチェンジで登場、ホイールベースが100mm延長されて高速安定性や操縦性が大幅に向上(その一方、550cc時代以降の軽自動車で最小と言われた回転半径はやや犠牲に)、エンジンもSOHC12バルブ&EFI(電子制御)仕様やDOHC12バルブ電子制御キャブレター仕様が登場し、走行性能は先代までと比べて飛躍的に高まっています。

エンジンの張り出しが問題だった低床仕様が廃止されて平床仕様へ統一されたほか、荷室が狭くなる問題があったリアハッチ上部の傾斜も立てられるなど改善され、あまり意味のなかったガラスハッチは廃止されました。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S100V ハイゼットバン スタンダード 1994年式
全長×全幅×全高(mm):3,295×1,395×1,760
ホイールベース(mm):1,900
車重(kg):770
エンジン:EF-NS 水冷直列3気筒OHC6バルブ
排気量:659cc
最高出力:31kw(42ps) / 5,700rpm
最大トルク:55N・m(5.6kgm) / 4,500rpm
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:9万~39万円(車両本体価格・2019年11月現在・デッキバン含む)

新規格でセミキャブオーバー化した9代目、S200V/S210V(1999-2004)

1999年1月のモデルチェンジで登場した9代目はハイゼットバンから現在まで続く「ハイゼットカーゴ」へと車名を変更、新規格化にともなう衝突安全基準の強化でもトラックはフルキャブオーバー式を維持したものの、ハイゼットカーゴは車重が重いゆえか短いボンネットを持つセミキャブスタイルへ変更されました。

また、この代の途中から乗用モデルのアトレーが全車乗用登録(5ナンバー)となりましたが、軽自動車税が安い商用登録(4ナンバー)の豪華仕様を望むユーザー向けに、2001年1月のマイナーチェンジで「ハイゼットカーゴ・クルーズ」が登場、さらに(アトレーを除く)歴代ハイゼットバン/ハイゼットカーゴで初となるターボ車、「ハイゼットカーゴ・デラックスターボ」も2002年1月に登場しています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S200V ハイゼットカーゴ スペシャル 1999年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,855
ホイールベース(mm):1,900
車重(kg):700
エンジン:EF-SE 水冷直列3気筒SOHC6バルブ
排気量:659cc
最高出力:32kw(43ps) / 5,900rpm
最大トルク:57N・m(5.8kgm) / 3,600rpm
燃費:-
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場:1.9万~54.5万円(車両本体価格・2019年11月現在・デッキバン含む)

トラックより一足早くモデルチェンジした10代目、S320V/S330V/321V/331V(2004-)

15年以上のロングセラーモデルとなったハイゼットトラックとは異なり、ハイゼットカーゴは2007年にモデルチェンジして10代目S320V系へと進化、トラックはS500P系として別に進化したため、この代では歴代で初めて「ハイゼットトラック」と「ハイゼットカーゴ」が完全に別々の車として存在することになりました。

そのためどちらかといえば乗用モデルの「アトレー」に近いコンセプトとなり、リアサスペンションも従来はトラック同様リーフリジッドだったのが3リンクサスペンションとなって乗り心地が向上、荷室もユーザーが自由に内装を整えられるようユーティリティナットやユーティリティホールが随所に施され、使い勝手が大きく向上しています。

農道や工場内の狭い敷地などで取り回しのよさが求められるトラックとは異なり、思い切って大幅なロングホイールベース化も図られてタイヤはボディ四隅へ追いやられ、テールランプをリヤバンパーへ移動することでテールゲート開口部も大幅に広くなったため、乗員の快適性、荷室のスペースや積み下ろし性も改善されました。

また、ターボ車は豪華装備グレードのクルーズへ集約されて「ハイゼットクルーズターボ」として再出発、引き続き5速MT車も設定されたため、軽自動車で数少ないMT+ターボ車となった時期もあったほか、2007年12月のマイナーチェンジではエンジンが7代目後期から使い続けていたEF系エンジンから新開発のKF系へと変更され、全車DOHC12バルブ+EFIエンジンへと変わっています。

トラックよりひと足早くモデルチェンジされたため、10年以上が経過した2019年11月現在でも衝突被害軽減ブレーキなどを追加装備しつつ継続販売されているロングライフモデルです。

なお、関西の商業界から要望されて「ハイゼットカーゴ・ハイブリッド」を販売していた時期もありましたが、高価格な割にあまり燃費性能が改善しなかったこともあり、短期間で廃止されています。

代表スペックと中古車相場

ダイハツ S321V ハイゼットカーゴ スペシャルSAIII 2019年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,765
ホイールベース(mm):2,450
車重(kg):910
エンジン:KF-VE 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:659cc
最高出力:34kw(46ps) / 5,700rpm
最大トルク:60N・m(6.1kgm) / 4,000rpm
JC08モード燃費:17.8km/L
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)3リンクリジッド+コイル
中古車相場:1.5万~287万円(車両本体価格・2019年11月現在・デッキバン含む)

各代の新装備

初代 L35V/L36V

・2、3速シンクロ機構つき変速機
・オイルマチック(オイルとガソリンの自動混合機)
・水冷2ストロークエンジンZM型

まだ商用車ではATどころかギアを合わせなくても噛み合うMTすら珍しかった時期、ノンスンクロミッションとは異なり、ダブルクラッチなど特殊な技術を要せずとも変速できるシンクロ機構付きミッションを装備した初代ハイゼットは、シンクロ機構が2速と3速だけでも十分に画期的で、発売当初はフロア式、後にコラムシフト式の3速MTを搭載しました。

また、エンジンは1966年10月のマイナーチェンジ以降水冷式のZM型へ変更されますが、それ以前に搭載していた強制空冷2ストロークエンジンZL型は発売当初、ガソリンと2ストロークエンジンに不可欠なオイルを適正な割合で同時に給油してやる必要がある混合給油でしたが、軽3輪トラックMP5ミゼットで実績のあった「オイルマチック」を1961年10月に採用、別体のタンクに給油したオイルをポンプで適正な量だけガソリンへ自動的に混ぜる混合給油を日本の4輪軽商用車用2ストロークエンジンで初めて実現しました。

2代目 S35V/S36V

・4速MT
・水冷2ストロークエンジンZM型

1964年4月に発売された2代目では、4速MTと水冷エンジンがキャブオーバー型の軽1BOX車としては初搭載。ラジエターを持つ水冷エンジンの恩恵でヒーターが使えるようになってユーザーから喜ばれました。当初は初代ハイゼットバンと同じく強制空冷エンジンでしたが、1966年10月に初代同様水冷エンジン化され、型式がS35VからS36Vへと変わっています。

3代目 S37V

・角目ヘッドライト
・橙色リアウインカー

それまで軽商用車といえば丸目ヘッドライトばかりだったところ、キャブオーバー型軽商用1BOX車としては初めて角目ヘッドライトを採用したのが3代目S37Vハイゼットバンです。
さらにリアウインカーも橙色になって赤いブレーキランプから独立、今では自動車の常識になっている赤いブレーキランプと橙色のリアウィンカーという組み合わせはここからでした。

4代目 S38V/S40V

・水冷4サイクル直列2気筒SOHC4バルブエンジンAB型(S40V)
・現行サイズナンバープレート対応
・両側スライドドア
・上開きテールゲート
・独立車幅灯(ポジションランプ)

4代目ハイゼットバンは従来からの360cc水冷2気筒2ストロークエンジン「ZM」を搭載したS38Vからスタートしましたが、軽自動車規格が改訂されて最大排気量が550ccまでに拡大したため、1976年4月に550cc水冷2気筒4サイクルSOHC4バルブエンジン「AB」を搭載したS40Vが登場。

それに先立ちナンバープレートのサイズも従来からの小板から現在と同じサイズの黄色いナンバープレートに変更され、前期型初期モデルを除き、それまでウインカーと兼用だった車幅灯が独立点灯するものへ変更されています。

商用車としての使い勝手を大きく向上させる後席左右両側スライドドアはこの4代目ハイゼットバンが軽1BOX車では初採用で、先代のヒンジドアから大幅に使い勝手が良くなったほか、テールゲートも横開きが現在まで一般的な上開きへ変更、雨天時でも積荷を濡らさなくて済むとユーザーから好評で、現在のハイゼットカーゴも続く商用1BOXスタイルはここで確立されました。

5代目 S60V

・ハイルーフ仕様
・リクライニングシート(カスタムEX)

実質、4代目の550cc版S40Vから新規格対応ワイドボディ版となった以外、メカニズム面ではほぼ共通の5代目S60Vハイゼットバンには新装備が少ないのですが、低床仕様がなく平床仕様のみで車内高を稼ぐ必要があったためか、ハイルーフ仕様が始めて登場。また、末期に追加された乗用用途(登録は商用4ナンバー)の「カスタムEX」グレードには、リクライニングシートなど快適装備が追加されていました。

6代目 S65V/S66V

・マクファーソンストラットサスペンション(フロント)
・4WD(パートタイム式)
・エアコン

6代目ではフロントサスペンションがそれまでのダブルウィッシュボーンからマクファーソンストラットへ変更、ストローク量増大により乗り心地や操縦性向上に大きく寄与しています。

1982年3月には他社ライバルとほぼ同時期に4WDが追加され、さらにメーカーオプションでエアコンを追加可能になるなど、だいぶ現在のハイゼットに近い形となりました。

7代目 S80V/S81V/S82V/S83V

・水冷4サイクル550cc直列3気筒SOHC6バルブエンジンEB型(S80V/S81V)
・水冷4サイクル660cc直列3気筒SOHCエンジンEF型(S82V/S83V)
・スライドドア昇降窓
・ダブルハッチ(ガラスハッチつきテールゲート)
・フロントディスクブレーキ
・5速MT
・オートフリーハブ(4WD)

7代目では4代目550cc版から採用された2気筒のABエンジンに代わり、新開発の3気筒EB型エンジンへ変更、さらに再び軽自動車規格が変更されて排気量上限が660ccへ拡大されたことから、EBの660cc版EF型エンジンが搭載されるようになりました(軽免許保有者への配慮は不要になったため、4代目のように旧エンジン搭載モデルは併売されず)。

さらに乗用モデルのアトレーには先代から3速ATが追加されていたものの、ハイゼットバンではこの7代目でも当初4速MTと5速MTのみでしたが、660cc化されてからの1991年にFR車のスーパーデラックスへ3速AT車を追加、1993年2月からは4WDのスーパーデラックスでも選択できるようになります。

さらに4WD車はFRと4WDの切替時、降車してのフロントハブ操作を要せずトランスファーレバーの操作のみで駆動切り替え可能なオートフリーハブを採用。さらに4輪ドラムブレーキだったのが当初4WDの上級グレードからフロントディスクブレーキ装備され、後にFR車も含め全車標準装備となりました。

商用車としての使い勝手の面では、世界で初めてスライドドアにも昇降窓を装備、傾斜したテールゲートにはガラス部分だけを開けて、テールゲートを開けずとも中の荷物が取れるダブルハッチが採用されましたが、リヤワイパーを装備できないことや、商用車として機能向上にほとんど寄与しなかったこともあり、以後採用されず一代限りで終わっています。

8代目 S100V/S110V

・DOHCエンジン(EF-GS)
・後席ELRシートベルト

8代目では1996年1月からAT全車とMT車では「天晴(あっぱれ)」グレードへEF-GS型を搭載、先代660cc版から既に搭載されていたSOHC12バルブのEF-ESとは異なり燃料供給方式はEFIではなく電子制御キャブレター式でしたが、ハイゼットバン史上初のDOHC12バルブエンジンでした。

さらに安全面では後席装備車へ、メーカーオプションで事故時の衝撃時に乗員の体を固定する、緊急ロック式巻取り装置つきのELRシートベルトを選択可能となりました。

9代目 S200P/S210P/S201P/S211P

・全グレードエアコン標準装備化
・油圧式パワーステアリング
・バックドア連動パワードアロック
・引き込み式ステアリング
・衝突安全ボディ
・新型エンジン(SOHC6バルブEFI:EF-SE型、DOHC12バルブEFI:EF-VE型)
・クラッチスタートシステム(MT車)
・助手席前倒し機構(「スペシャル」以外)
・4速AT
・運転席SRSエアバッグ
・フォースリミッター機構付フロント3点式シートベルト
・フロントパワーウィンドウ

1998年10月からの軽自動車新規格に対応し、1999年1月に登場した9代目ハイゼットは、衝突安全性能を向上した短いボンネットつきセミキャブボディを採用。事故時のドライバー傷害を軽減する引き込み式ステアリングも採用され、2000年2月にはMT全車へクラッチを踏まないとエンジンをかけられないクラッチスタートシステムを装備。

さらに2003年6月には上位グレードへ運転席SRSエアバッグと、事故時に過度な荷重で乗員の胸部を圧迫しないよう、一定以上の荷重ではこれを緩和するフォースリミッター機構付フロント3点式シートベルトも装備されるなど、安全性が段階的に強化されました。

さらに快適装備では全グレードへエアコンを標準装備として、油圧式パワーステアリングやフロントパワーウィンドウも追加。エンジンは全車EFIのEF-SE(SOHC6バルブ)およびEF-VE(DOHC12バルブ)へと更新されています。

10代目 S320V/S330V/321V/331V

・大型グローブボックス
・大型アンダートレイ
・ユースフルナット(荷室)
・ユースフルホール(荷室)
・3リンクリジッド&コイルサスペンション(リア)
・防錆鋼板
・ステンレスマフラー
・プリテンショナー&フォースリミッター機構付シートベルト
・デュアルSRSエアバッグ
・KF型エンジン(S321V/331V。自然吸気版KF-VE・ターボ版KF-DET)
・チャイルドシート固定機構付リヤ3点式ELRシートベルト(S321V/331Vのクルーズ/クルーズターボ)
・電子制御4AT
・電子制御スロットル
・衝突回避支援システム「スマートアシストIII(SAIII)」
・VSC(横滑り防止装置)&TRC(トラクションコントロール)
・アイドリングストップシステム「eco IDLE」
・電動パワーステアリング
・LEDヘッドランプ

10代目はトラックより先行したモデルチェンジで10年以上の長期販売車となったこともあり、各装備が段階的にレベルアップされていきました。

根本的な使い勝手に直結する当初からの新装備としては、大型化されたグローブボックスやアンダートレイ、そして荷室に純正オプション、またはユーザーがオリジナルで仕切りや網、フックなどを取り付けられるユースフルナットやユースフルホールを設置。

走行性能面ではアトレー同様に3リンクリジッド&コイルサスが採用されて、それまでトラック同様だった乗り心地を改善、さらに防錆鋼板の使用拡大やステンレスマフラーの採用で防錆性能も大幅に向上、フォースリミッター機構に加えて衝突初期にベルトを巻取り乗員の体をしっかり拘束するプリテンショナー機構もついた、3点式ELRシートベルトを後席にも標準装備。助手席にも追加されたデュアルSRSエアバッグも加え、安全性能も大きく向上しました。

2007年12月からは型式S321V(FR)/S331V(4WD)となってエンジンが新型のKF-VE(自然吸気)/KF-DET(ターボ車)へ更新、全車DOHC12バルブエンジンとなり、2010年8月からATは全車4速化、さらに2015年4月には電子制御ATや電子制御スロットルの採用で、AT車の燃費が改善されています。

2017年11月のマイナーチェンジではフロントのデザインがシュッと引き締まるとともに、ダイハツで当時最新のステレオカメラ式衝突回避支援システム「スマートアシストIII(通称スマアシIIIまたはSAIII)」とVSC&TRCを搭載するSAIIIグレードが設定され、ABS(全車)やヒルホールドシステム(AT車。坂道発進での後退防止装置)も新たに標準装備。同時にアイドリングストップ「eco IDLE」の採用やパワーステアリングも電動式に代わり、高効率化で燃費はさらに向上しました。

2019年11月にはメーカーオプションだったLEDヘッドランプが上位グレードへ標準装備されるなど、商用車の概念を変えてレジャー用途にも十分耐えるような品質向上も図られています。

派生車

ダイハツ L50V ニューラインバン(初代へ800ccエンジンを搭載した小型登録車版)

初代ハイゼットバンのホイールベースを延長し荷室も大幅延長、最大積載量を350kgから500kgへと増加させたボディへ小型乗用車コンパーノ用の水冷4サイクル797cc直列4気筒OHV8バルブエンジン「FE型」を搭載した小型登録車版で、1962年11月から1966年1月まで販売されていました。

トラック版は2代目ハイゼットキャブトラックがベースの「ニューラインキャブ」もありましたが、ハイゼットキャブバンの拡大版は存在しません。

ハイゼットデッキバン(7代目)

分類としてはピックアップトラックになりますが、ハイゼットバン/ハイゼットカーゴの荷室を後席後ろで切り取り、小さな荷台を設置したのが「ハイゼットデッキバン」で、冷蔵庫など縦にかさばる荷物を運びつつ、運搬要員を乗車させたり濡れてはいけない工具類も後席に積みたい電気業界などからの要望で、7代目ハイゼットバンから登場しました。

現在の10代目ハイゼットカーゴでもラインナップされており、一時期は他社でも同種車両が販売されていた時期はあったものの、現在はハイゼットカーゴおよびOEM版のスバル・サンバーバンにしか設定がない特殊な車種です。

もともと事業用に作られたデッキバンですが、大人4人乗車とそれなりに荷物の積める荷台が両立した事実上のダブルキャブピックアップとあって、近年はレジャー用途での活用にも期待されています。

ハイゼットカーゴ・ハイブリッド(10代目)

関西の商業界から「軽商用車でも経済性の高いハイブリッド車を出せないか」と要望されたダイハツが、2005年8月から2010年5月まで販売していた、ハイゼットカーゴのハイブリッド版。

ハイブリッド車とはいえ、エンジンとミッションの間に薄型モーターを挟んだだけの1モーター式で、ホンダ初期のハイブリッドシステムであるIMAと同じく、実質的にモーター単独でのEV走行はできないため、どちらかといえば「マイルドハイブリッド」的な車です。

駆動系直結の1モーター式は不使用時には駆動系の抵抗にしかならず、荷室の積載性や後席の乗車性を損なわないためにはあまり大容量バッテリーも積めないためモーターアシストも短時間に限られた性能しか発揮できないことから燃費低減は期待されたほどではありませんでした。

それでいて当時のハイゼットカーゴの最高価格グレード(クルーズターボ4WD・4ATで138.6万円)よりはるかに高価な221.55万円もしたことから販売も不振で短期間の販売で終わってしまい、以後ダイハツは少なくとも軽商用車でハイブリッドを試みていません。

初代~トヨタ・ピクシスバン(9代目~10代目のトヨタOEM販売モデル)

9代目途中の2011年12月から、ハイゼットカーゴをトヨタの軽自動車ブランド「ピクシス」へOEM供給開始、「ピクシスバン」として販売しています。

7代目~スバル・サンバーバン(9代目~10代目のスバルOEM販売モデル)

スバルが6代に絵わたり長年販売していた軽1BOX商用車「サンバーバン」の自社生産を終了したことに伴い、7代目以降のサンバートラックは2012年4月からダイハツより9代目以降のハイゼットカーゴをOEM供給し、スバルで販売することになりました。
ダイハツ・ハイゼットデッキバンのOEM供給版である「サンバーオープンデッキ」も販売されています。

ピアッジオ・ポーター(イタリアのピアッジオ版。日本未発売)

7代目S82系660cc版ハイゼットバンをベースにイタリアのピアッジオ車でライセンス生産していた小型商用車で、EV版の追加など独自に進化をとげた現行モデルが現在も販売中です。

ダイハツ・ゼブラ マルチバン(インドネシアのアストラダイハツ版小型車。日本未発売)

7代目ハイゼットをベースにやや排気量の大きなエンジンを搭載し、東南アジアなど新興国向けとして登場したのが小型商用車「ゼブラ」で、1BOXバンタイプは「ゼブラ マルチバン」と、荷室がないタイプの「ゼブラ ブラインドバン」があり、乗用版の「ゼブラ エスパス」もありました。
1996年には8代目S100V系をベースとした2代目へモデルチェンジ。さらにモデルチェンジしたのが現行モデルのグランマックスです。

ダイハツ・グランマックス(インドネシアのアストラダイハツ版小型車。日本未発売)

インドネシアのアストラダイハツで開発・生産されている軽商用車で、1BOXバン仕様は駆動系や足回りなどが9代目ハイゼットバンをベースとしており、エンジンは1.3~1.5リッターエンジンを搭載しています。

トヨタ・タウンエースバン(4代目)/ライトエースバン(6代目)

(グランマックスの国内トヨタ版)
グランマックスは日本国内のダイハツでは販売されていませんが、トヨタでライトエース/タウンエースの1BOXバン仕様の国内生産(ダイハツが担当)が終了したため、後継車としてグランマックスのバンを輸入、トヨタへOEM供給して国内販売しています。

次期モデル大予想

現行の10代目ハイゼットカーゴは2004年12月にデビューしましたから、2019年11月現在では発売から14年11ヶ月となり、9代目ハイゼットトラックの15年8ヶ月に迫るロングセラーモデルとなっています。

9代目ハイゼットトラックへ並ぶにはあと9ヶ月、つまり2020年8月には10代目ハイゼットカーゴも並び、そして追い越すことはもはや確実な情勢で、それを機に「2020年12月モデルチェンジ」という予想までありますが、その時期にモデルチェンジを要するほど重大な保安基準改正が迫っているわけでもないため、根拠が不明です。

モデルチェンジする理由があるとすれば、「親会社トヨタからの指示」、あるいは「販売台数でスズキ・エブリイバンに負けている現状打破」が考えられます。しかしトヨタは「ピクシス」ブランドでピクシスバン(ハイゼットカーゴ)を含む軽自動車を販売しているとはいえ、ユーザーに示す選択肢のためという意味合いが強いように思えますし、それほど拡販しようという様子もありません。

あるいは連結決算対象子会社であるダイハツの業績のため、スズキに販売台数で遅れを取らないよう…という判断もありえますが、スズキ・エブリイバンとの販売台数差は、リスクを背負ってまで開発費をかけ、ハイゼットカーゴのフルモデルチェンジを迫られるほどではなく、むしろホンダの1BOXバン撤退(アクティバン)による棚ボタで、パイの食い合いを避けられる状態にあります。

何より軽商用車の販売台数は右肩下がり、だからこそ三菱もホンダも撤退したわけですから、国内専用車であるハイゼットカーゴをモデルチェンジする理由は、当面ないと考えるのが普通でしょう。

スズキ・ジムニーやランドクルーザー70などのようにモデルチェンジの必要がなければ20年でも30年でも作り続けるのが自動車というものですから、ハイゼットカーゴもスマートアシストなど予防安全技術のバージョンアップを図りつつ、必要であればレジャー用途向けにSUV的なモデルなども追加しながら、まだ最低10年程度はモデルチェンジなしで作られると思われます。

その根拠としては、経済産業省と国土交通省の共同審議会において示され、2030年度から適用されるという新燃費基準で、JC08モードよりだいぶ厳しい数値の出るWLTCモードをベースに、平均燃費で32.4%程度の向上が求められているからです。

おかげで軽自動車も多くが最低でもマイルドハイブリッド化を迫られそうですが、ダイハツは過去に事実上のマイルドハイブリッド車であるハイゼットカーゴ・ハイブリッドで大した燃費向上が見込めず、車両価格のみ大幅に高くなったという教訓があるため、単純に次期ハイゼットカーゴはマイルドハイブリッド採用!とは言い切れません。

むしろ過去にいくども実験的な販売を行った「ハイゼットバン電気自動車」の経験を活かし、短距離用途は航続距離が多少短くともEV(電気自動車)で割り切り、さらにダイハツお得意の高効率化を進めたガソリンエンジンと併せ、平均燃費を稼ぐ方向に進むと考えます。

次期ハイゼットカーゴは2029~2030年頃発売、大容量バッテリーを搭載したEV版と、オルタネーターを強化して車内電装品用の小容量バッテリーを搭載してエンジンの負担を減らした、簡易マイルドハイブリッドといえるガソリンエンジン版の2本立て(デッキバンはたぶん簡易マイルドハイブリッド版のみ)と、大予想させていただきます。

商用車ゆえに、乗用版のアトレーはともかく、ハイゼットカーゴのような車にも運転支援を超えた自動運転技術が搭載されるのは、さらに先の話でしょう。