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3S-GTを搭載して売っていた究極のカローラ!「TRD2000」とは?

3S-GTを搭載して売っていた究極のカローラ!「TRD2000」とは?

最近はあまりそういう車が発売されなくなりましたが、かつては『羊の皮をかぶった狼』と呼ばれる車が思い出したようにデビューすることがありました。一見何の変哲もない無害な?車のように見えて、実は強烈なエンジンを積んでいるためヘタなスポーツカーなどカモれてしまうというギャップが最高なジャンルですが、『かつての平凡な車代表』トヨタ・カローラにTRDスポーツツインカムエンジンの3S-Gを搭載したTRD2000はまさにそんな車でした。

『平凡な車』『国民車』カローラがもっとも贅沢でカッコ良かったバブル時代のAE101

トヨタ・カローラといえばかつてはスズキ・アルトと並んで『日本でもっとも平凡な車代表』。筆者が車好きだと知っている友人が「今度車買おうと思うんだけど、何がいいかな?何でもいいんだけど?」と聞いてきた時、まずは「じゃあカローラかアルトでいいじゃん」と突き放し、「え~何でもいいとは言ったけど、もう少しちょっと…」と言われてしまうような車です。

もちろん何が悪いというわけではなく、あまりにもどこでも走っている上に営業車として使われていることも多いのが原因ですが、1966年に初代E10系が発売されて以来のカローラとは、まさにそのような『平凡な車代表』であり、それでいて毎年必ず販売ランキング上位にいる、つまり車に大した興味のない大多数の人がそれで満足してしまう驚異の車でした。

バブル崩壊以降、つまり1990年代後半以降は4ドアセダン自体が売れなくなったのでカローラも平凡というより目立たぬ地味な存在になっていきますが、今でもヴィッツの4ドアセダン/ステーションワゴン版のようなカローラアクシオ/カローラフィールダーが販売されています。

次期カローラはカローラスポーツ同様3ナンバーの4ドアセダンになるという話もありますが、教習車や小型タクシー需要もあるため5ナンバーボディ4ドアセダンのカローラアクシオは、プレミオ/アリオンと統合した後継車が出るまで継続販売されるのではないでしょうか。

そんな「売り続けた結果、ライバルがほとんど消えてかえって貴重になりつつある」カローラですが、バブル時代真っ只中に開発、1991年に発売された7代目E100系カローラは歴代でもっとも豪華でカッコイイ傑作モデルで、実によく売れました。

どれだけ豪華だったかというと、上級グレードに『SE-L』というグレード名をつけて、「ウチの560SELなんかと紛らわしいからやめてくれ」とメルセデス・ベンツからクレームがきたので『SEリミテッド』に改名したくらい、車内は上質。

どれだけカッコ良かったかというと、スポーツツインカムの20バルブ版4A-GEを搭載した『GT』はなんと見た目ファミリーセダンなのに後ろに回ると精悍な左右2本出しテールのマフラーで、歴代カローラ史上でもっともやる気を感じさせるスポーツセダンでした。

1994年のマイナーチェンジ以降はライトバンも含めガソリンエンジン全車がスポーツツインカムまたはハイメカツインカム化され、ロングルーフで空力の優れたカローラバンなど、1,300ccの4MT車ですらスピードリミッターが作動するほど快速でもあります。

つまりノーマル状態でもタダモノではなかったのが7代目E100系カローラで、次期モデルの8代目E110系がバブル崩壊後のコストダウン策で見るも無残なクオリティダウンを強いられただけに、E100系は歴代カローラ市場最高傑作と言える出来でした。

最高のカローラに最高のエンジンを積んで『羊の皮をかぶった狼』化

そんな最高傑作E100系カローラはチューニングの素材としても最高で、数はそう多くなかったとはいえマフラーを交換したり、フルチューンして補助灯を追加、ラリーへ出場するカローラGTもいて、その姿がまた妙にキマっていました。

1994年にJTCC(全日本ツーリングカー選手権)が始まると、初期のトヨタ主力マシンであるコロナや、後継マシンのコロナExivと並び、TRDが2リッタースポーツツインカムの3S-GEを搭載したカローラも出場させています。

何かズングリしたコロナよりE100系カローラGTの方が断然カッコよく、トレッドが狭いため総合的な戦闘力は劣ると言っても、なかなか魅力的な姿だったのを覚えている人も多いことでしょう。

バブル崩壊後とはいえまだ勢いが残っており、「ガマンしていればじきにまた景気が良くなるさ」と楽観していたのが1994年でしたから、TRDもつい欲が出たのか、このJTCC仕様カローラの市販バージョンを『TRD2000』として販売してしまったのは驚きました。

ヨーロッパではコンパクトカーや小型セダンに高性能エンジンを積んでホットモデルを作るのがそう珍しいことではなく、日本でもカローラには4代目E70系からスポーツツインカムを搭載する『カローラGT』が設定され、7代目E100系でも1.6リッター直列4気筒20バルブDOHCの4A-GE(165馬力)が搭載されています。

これが『TRD2000』ですと2リッター直列4気筒16バルブDOHCの3S-GE(180馬力)が押し込まれ、ミッションも載せ替えたエンジンに対応しているのはもちろん、マフラーやドライブシャフトも換装。

サスペンションやブレーキパッド、ストラットタワーバーはTRDのパーツがおごられ、内外装もフロントグリルやシフトレバー&ノブは専用品、サイドステッカーやリアエンブレムは専用の『TRD2000』ロゴが入ります。

ただしフロントグリルやマフラーが専用品と言ってもノーマルと見比べたら「ちょっと違う気がする」とわかる程度で、見た目は少しローダウンされたカローラGTにしか見えないのがポイントです。

現在も維持している人はそれなりに手を加えていますが、中にはドレスアップというより廉価グレード用の黒い樹脂製マフラーへ交換してしまう『営業車ルック』などコダワリの仕様もあり、そうすると本当に安いファミリーセダンにしか見えなくなるのがTRD2000の恐ろしいところでしょう。

オプションでさらに本気仕様にも!

なお、TRDではさらに本気度を高めるオプションが設定されています。

・TRDクラッチカバー&クラッチディスク
・TRD LSD(4ピニオン)
・TRDスタビライザー(フロント/リヤ、強化ブッシュつき)
・ケーニッヒ社製スポーツシート(運転席/助手席セット)
・TEDステアリングホイール Type-C(ボス付き)
・TRDアルミホイールType-FT&ヨコハマグランプリM5 195/55-R15

スポーツシートとアルミホイールを除けば見た目に影響するものではない、完全に『本気で走るためのオプション』で、ついでにエアコンレス仕様やロールケージも準備されれば、そのままサーキットを走れそうな気がしてきます。ダート用サスペンションとアンダーガードもあれば、ラリーやダートトライアルでもなかなかの成績が残せるのでは?

もちろんこれらは『TRD2000』用のオプションなので、通常のカローラGT用純正あるいは社外パーツを組み合わせることで、小さなセリカかコロナExiv/カリーナEDかという戦闘力を得ることもできるでしょう。

FF車用3S-GEには後にST202セリカやSW20 MR2用に200馬力仕様もありましたから、載せ替えてみても面白いかもしれません。

限定台数に達しない販売台数で超希少車?!さらに希少なカローラセレス版も

なお、TRD純正とはいえコンプリートカーですからお値段もただものではなく、なんと新車価格は335万円!ベースであるカローラGTが172.6万円ですから倍近く、当時のクラウンなら3リッターDOHCのロイヤルツーリングSが、マークIIなら2.5リッターターボのツアラーVが買えてしまいます。

同時期の同じ3S-GE搭載の5MT車だと、コロナExiv TR-Gで218.7万円、セリカSS-IIIで235.万円、MR2 Gリミテッドで224.4万円ですから、どれだけTRD2000が高いか分かるというもので、同じエンジンを積んでいても豪華だったりカッコ良かったりするのですから、普通の人間ならまず買いません。

TRDであえての3S-GE搭載カローラに価値を見出す人はそういないと思ったのか99台限定で発売しましたが、実際には12台程度しか売れなかったと言われており、今となってはトンデモないレア車となってしまいました。

なお、実は『TRD2000』には4ドアハードトップの『カローラセレス』をベースにしたものもあり、筆者が知る限りTRD2000を知ったユーザーが「カローラでもできるならセレスでもできるでしょう?」と特注したように記憶していますが、カタログモデルとしてカローラセダンと合わせて99台販売したのだ、と紹介している媒体もあり、実際はどうだったのか不明です。

いずれにせよ、カローラセレス版TRD2000は2~3台程度しか売れなかったらしく、ADVANカラーにでもすればJTCC仕様カローラセレスのレプリカになるのですが、あまりにレアかつマイナー過ぎるので、かえってネタ元がわかりにくいかもしれませんね。