電動化

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電動化には欠かせない技術(4)バッテリーのリサイクル技術

電気自動車はもとより、電動化技術の使われた車、モーターを積まないまでも車内電装品用に回生エネルギーを充電しておく機能を持った車には、必ずニッケル水素バッテリーやリチウムイオンバッテリーが使われています。それらの寿命が来た時にうまくリサイクルする仕組みは環境対策車であれば不可欠なものです。

既に仕組みができあがっている従来からの鉛バッテリーリサイクル

ハイブリッドカーやEV(電気自動車)が登場する以前、自動車用バッテリー(充電・放電が可能な二次電池)としてはほぼ唯一無二の存在だった鉛バッテリーはかつて鉛の価格が高かった頃ならともかく、国際市場で鉛の価値が下落するにつれ、廃棄物処理が困難になっていきました。

それでいて大量に使われ、早ければ数年も使えば寿命がきて廃棄される運命にあったため、大量の不法投棄などが懸念された結果、1994年10月から国内電池メーカー各社が自主的に再生鉛を購入するリサイクル方式『BAJ自主取組(下取り方式)』を開始。

その後、より実効的なリサイクル方式として2012年4月より一般社団法人鉛蓄電池再資源化協会(SBRA)による『SBRA自主取り組み』が始まり、会員となっている一般社団法人電池工業会(略称BAJ)と国内電池メーカー4社、電池輸入事業者2社によって自動車用鉛蓄電池リサイクルシステムの円滑な運営が進められています。

仕組みとしては、以下。

1.使用済バッテリーが、SBRAの定める個数(原則として、自動車用バッテリーは25個以上、又は二輪車用バッテリーは50個以上)が溜まったら、SBRAホームページの「管理票情報システム」からウェブ等による回収を依頼。

2.依頼に基づき、SBRAは委託した回収事業者(輸送含む)、解体事業者に使用済バッテリーの回収、解体処理を依頼する。

3.SBRAは広域認定取得者として、回収から解体処理後の廃酸中和処理までの一連の工程を、リサイクル管理票と電子的管理票情報システムを用いて管理。

リサイクルに関わる回収事業者はSRBAに登録した業者のみで、処理完了報告も含めてSRBAにしっかり管理されているため、再資源化までの流れはしっかりできあがっていることになります。

ただ、事業者間ではともかく一般家庭レベルまでその仕組みが浸透しているとは言い難く、バッテリー上がりの際など、自分で買ってきた鉛バッテリーをDIYで交換した後、古いバッテリーの処分が面倒でいつまでも取っておく人がいるかもしれません。

そうした『古いバッテリーの処分に困っている人』は、近くでバッテリーを販売しているカー用品チェーン店などへ古いバッテリーを持ち込めば無料で回収してくれますから、積極的に再資源化しましょう。

なお、住宅地などを回っている古物回収業者の場合、逆に処分料を取られるケースもありますから、安易に声をかけない方が無難です。

自動車リサイクル法改正前からニッケル水素バッテリーリサイクルへ取り組んだトヨタ

2012年に自動車リサイクル法が改正され、解体時の事前回収物品にリチウムイオンバッテリーおよびニッケル水素バッテリーが追加されました。

しかしその頃にはハイブリッドカーどころかEVやPHEV(プラグインハイブリッドカー)すら登場しており、法改正はやや後手に回った感があります。

むしろ自動車メーカーの方が先回りして熱心に取り組んでいたのは当然と言えますが、中でも1997年に世界初の量販ハイブリッドカー、初代『プリウス』を発売したトヨタでは、早くからプリウスなどTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)に使われてきたニッケル水素バッテリーのリサイクル技術を確立してきました。

一般社団法人産業環境管理協会 資源・リサイクル促進センターの『レアメタルリサイクル』によれば、トヨタと住友金属鉱山、トヨタケミカルエンジニアリングの3社で協力したリサイクル体制が構築されており、単なる回収や再資源化に留まりません。

何しろニッケルやコバルト、貴重なレアアースなどがふんだんに使われているゆえ、資源としても重要なのはもちろんですが、回収されたバッテリー自体がまだ再使用可能な場合、再資源化にともなう環境負荷を防ぐため、極力再利用に回しています。

そもそもリサイクルとは簡単に言えば「限りある資源をムダにせず再活用しよう」という健全な発想が元になっていますが、リサイクルのため資源を回収、分解した上で原料レベルへ戻して生産して…としていては、再資源化のためさらに資源を投入する『環境負荷』が生じるものです。

とはいえ再資源化をしないわけにもいかないのですが、環境負荷を極力生じさせないためには『再資源化』の前に『可能な限りそのまま再利用』できれば、それに越した事はありません。

そこでトヨタでは、ニッケル水素バッテリーを使ったハイブリッドカー先進メーカーとして、以下のようなステップで再利用可を図ってきました。

1.寿命がきたセルのみ入れ替え、修理交換用バッテリーとしてハイブリッドカーへ再利用。

2.太陽光発電パネルなどから充電し、非常時に指定した器具やコンセントに給電可能な蓄電システム用の蓄電池へ再利用。

3.寿命や用途廃止などで再使用ができないバッテリーセルのみ、豊田ケミカルエンジニアリングで循環・粉砕・選別し、住友金属鉱山で原料として精錬抽出。

このように、回収されたニッケル水素バッテリーをむやみに再資源化に回して環境負荷を増大させるのではなく、可能な限り使い回す理想的なリサイクルを実現しています。

せっかく『環境に優しい車』として登場したハイブリッドカーですから、多数回収されるバッテリーのリサイクルでもここまで配慮するのは当然です。

リチウムイオンバッテリーの再利用も開始

ニッケル水素バッテリーの再利用も含むリサイクル体制を構築したトヨタでは、今後はリチウムイオンバッテリーを使うPHEVやEVが増加する事で、2030年頃には蓄電池システムに自動車で使用済みのリチウムイオンバッテリーを充てようとしています。

そのため2018年から中部電力と使用済み自動車用バッテリーを使った蓄電池システム実証実験を開始しており、電動化された車の進化に合わせて使用済みバッテリーの種類が変わるのも見越した取り組みを常に行っているわけです。

一方、既に大容量リチウムイオンバッテリーを使ったEVの販売実績が長いメーカーもあり、日産は初代リーフの発売から8年近く経過した2018年、住友商事との合弁会社『フォーアールエナジー』を設立し、中古電池再利用のための拠点工場を福島県浪江町に建設しました。

ここでのリサイクル技術のキモは、リーフでは1台あたり48個あるバッテリーモジュールの劣化度合いを検査するのに従来は16日間必要だったところを、わずか4時間で可能にしたこと。

日産では初代リーフの発売時から将来的にリチウムイオンバッテリーの下取りや再利用の意向を明らかにしていましたが、実際にはなかなか実現しませんでした。

単にリサイクルの母体となるEVの販売台数がまだ少なく、使用済みで回収するリチウムイオンバッテリーが少なければ事業化できない…という問題もあったかもしれませんが、再利用のための検査に時間がかかりすぎるという原因が大きかったならば納得です。

今後は増加する一方の回収バッテリーに対し迅速に検査を行い、モジュール単位で容量80%を超えていればリーフの交換用バッテリーとして、80%を下回れば電動フォークリフトやゴルフカート、街灯向けの電池へ仕立て直して販売します。

せっかく回収しても検査に多大な時間を要していては、現実的な再利用計画がたてられないのは当然で、電動化された車を普及させるためには、こうしたリサイクル技術も同時に開発していかなければならないという好例でした。

リサイクルを重視してこなかった中国で回り始めた『ツケ』

ここまで紹介した取り組みは日本のみ鳴らず欧米でも大規模に始まっているものですが、北米やEUと並ぶ自動車の大市場、中国ではリサイクルへの取り組みが遅れたままEVの普及を進めたツケが、今まさに表面化しているようです。

つまり、規格やデザインを統一しないまま性急な普及が図られた結果、一度再資源化しなければ再利用は困難になっている上に、適切に処理しなければ深刻な環境汚染を引き起こすリチウムイオンバッテリーが、無資格業者によって無造作に処分されている現状があります。

確かにリチウムや銅、コバルトといった資源は宝の山ではありますが、適切な処分(つまり再資源化)を行おうとすれば、再資源化後の価値よりリサイクル費用の方が高くついてしまうそうです。

先進国の自動車メーカーがEVの性急な商品化を進めなかった背景には、まさにこの問題があったわけですが、中国の場合はリサイクルコストを自動車メーカーではなくバッテリーメーカーへ押し付ける形でここまでやってきました。

それがいつまで通用するか不透明になってきた現在、日本の自動車メーカーやバッテリーメーカーも、中国市場でリサイクル技術を武器にして、まだまだ巻き返すチャンスがあるのかもしれません。

当然、アメリカやEUの自動車メーカーも同様ですから、2020年代は中国市場での主導権争いがかなり苛烈になり、中国でEVを売りながら日本では古いEVやハイブリッドカーのバッテリーを使った蓄電システムが、広く普及しそうです。