電動化

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電動化には欠かせない技術(1)大容量で劣化しない事を目指すバッテリー

EV(電気自動車)に限らず、ハイブリッド車など電動化された自動車に欠かせないのが大容量バッテリーなど優れた蓄電装置です。鉛、ニッケル水素、リチウムイオンなど各種素材を使ったバッテリー(蓄電池)のほか、ウルトラキャパシタのようなバッテリー以外の技術もありますが、今回は電動化技術に多用されるバッテリーについて。

ちょっと前まで、自動車用バッテリーと言えば鉛バッテリーだけだった

今やハイブリッドカーのみならず、EV(電気自動車)すら当たり前となった世の中ですが、それらが搭載する大容量バッテリーはもちろん内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)のみの車では不要で、自動車用バッテリーと言えば鉛バッテリーの事でした。

今でも普通に販売されているマンガン電池やアルカリ電池など充電できない電池は『一次電池』、充電可能な電池は『二次電池』と呼ばれ、1859年にフランスの研究者ガストン・プランテが二次電池を発明した頃から使われていたのが鉛バッテリー。

初期のEVにも使われ、人力のスターターを使わずともセルモーターを駆動してエンジンを始動できるため、内燃機関の始動用としても自動車とは長い付き合いです。

というより、自動車用バッテリーと言えばほんの20年ほど前まで鉛バッテリーの事を表し、他の電池など市販車用には使われていませんでした。

わずかにカリフォルニア州で構想されたZEV法に対応して開発されたEVや、1997年に発売された世界初の量販ハイブリッドカー、トヨタ プリウスへニッケル水素バッテリーが採用され始まったくらいという頃。

EVでも電動のフォークリフトやゴルフカートは鉛バッテリーで動いていましたし、1980年代まで試験的に作られたEVは軽トラなどを改造し、床下へゴッソリ大量の鉛バッテリーを並べる方式。

2000年代に入っても、2003年に発売されたスズキ ツインのハイブリッド車は12V鉛バッテリーを8個直列にまとめたバッテリーパックを2つ直列、合計16個で192Vというかなり強引な手法でモーターアシスト用電源としていたほどです。

鉛バッテリーは『枯れた技術』だけあって性能は安定して安価、充放電を繰り返してもメモリー効果と呼ばれる電圧低下現象がないため、現在でもハイブリッドカーも含め内燃機関を搭載した車の多くでエンジン始動用などに使われ続けています。

ただし、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーを持ち比べた経験のある人ならわかる通り、鉛バッテリーには大きく重く、出力も低いという欠点があるため「どうしてもここだけは最低限、安全に安定動作してほしい」という場合にしか使われなくなってきました。

既に内燃機関用としても社外品のリチウムイオンバッテリーが販売されて久しく、高価ではありますが高性能な高級車用として純正採用された例すらあり、今後自動車用としていつまで使われ続けるか分かりません。

初期のEVやハイブリッドカーを支えたニッケル水素バッテリー

前項でアメリカ・カリフォルニア州のZEV法について少し書きましたが、1990年代に「有害な排出ガスを一切出さない車(ゼロ・エミッション・ビークル)を一定数販売させる事を法律で定めよう」という構想でした。

その頃には、1980年代までに作られた多くのEVが大きく重い鉛バッテリーのみで奮闘し、公害問題やオイルショック、マスキー法など燃料の高騰や大気汚染が問題となるたび注目されたものの、結局は19世紀以来の「大きい・重い・高い・充電に時間がかかる」という壁を超えられなかったものです。

しかし、1970年代から人工衛星に使われ始めたニッケル水素バッテリーが、鉛バッテリーより大電流の放電に耐えつつ耐久性に優れる特性を維持したまま小型軽量化、1990年代には自動車用としての使用に耐えうるレベルとなっていました。

そこで同年代に実験的なリース販売が行われたEVや、いよいよ量販モデルが登場し始めたハイブリッドカーでは、ニッケル水素バッテリーが搭載されるようになっていきます。

とはいえ、小型軽量化といっても程度問題だった上に高価で充電に時間がかかる問題は解消されず、発売当時215万円だった初代トヨタ プリウスなど、普及のための戦略的な価格設定を行ったものの、当初は売れば売るほど赤字だったそうです。

さらに初代ホンダ インサイトのように、一見3ドアハッチバッククーペなものの、テールゲートを開けるとラゲッジはバッテリーによる上げ底で容量がほとんどないなど、低燃費をアピールしようと車自体を小型軽量化すれば実用性が皆無になる代物でした。

しかし、安定した性能を発揮して後述するリチウムイオンバッテリーのように爆発の危険性も少ないなど2000年代には既に『枯れた技術』と化してきた事から、初期の自動車電動化において多用され、今でも使われ続けています。

それどころか、欠点も多いリチウムイオンバッテリーが対策に追われる間に性能向上を果たした結果、コストパフォーマンスで考えれば優れたバッテリーというところまで引き上げられました。

国産ハイブリッドカーの定番エントリーモデルとして販売台数トップを長年争い続けているトヨタ アクアも、ニッケル水素バッテリーを使って安価かつ安定した性能発揮が人気の源だと言っても良いほどです。

開発が進んで主力となるか、新世代に取って代わられるかというリチウムイオンバッテリー

ニッケル水素バッテリーを搭載したハイブリッドカーがプリウスやインサイトに続き続々登場しようとしていた2000年、日産からティーノ・ハイブリッドが発売されました。

官公庁からの要望に応じたミニバンタイプ、たった100台限定と慎ましい規模での販売でしたが、この車にはニッケル水素バッテリーではなく、なんとリチウムイオンバッテリーが搭載されていたのです。

他社のハイブリッドカーやEVでリチウムイオンバッテリー搭載車が発売されるようになるのは2000年代末からだったので、ティーノ・ハイブリッドは10年先を行く存在だった事になります。

結局、実用性重視で燃費低減効果が期待外れどころではなかった事や、所詮100台限定だったので発売時を除けばほとんど話題にもならず消えていきましたが、ルノー傘下に入って経営再建を始めたばかりの日産にとってはそれが限界でした。

日産はその後、トヨタやホンダのようなニッケル水素バッテリーを使ったハイブリッドカーはほとんど作らず、一気にリチウムイオンバッテリーを使ったEVやシリーズ式ハイブリッドカーなど独自技術へ傾倒していく事となります。

そして2000年代末以降、テスラ ロードスター(2008年発売)や三菱 i-MiEV(2010年一般向け発売)、日産 リーフ(2010年発売)などのEVや、プリウスPHV、アウトランダーPHEV(いずれも2012年一般発売)といったプラグインハイブリッドでリチウムイオンバッテリーが採用。

これらはいずれも外部からの充電を行うため大容量バッテリーが不可欠で、特に既存車で長距離EV走行やV2H(家庭の停電時電源として接続)対応などを求められたプラグインハイブリッドカーには、ニッケル水素バッテリーと同じ容積ならはるかに大容量のリチウムイオンバッテリーは不可欠でした。

また、通常の内燃機関のみを搭載した車にもリチウムイオンバッテリーは以外な形で標準搭載される事になります。

それが5代目スズキ ワゴンRから搭載された『エネチャージ』で、減速時の回生エネルギーを鉛バッテリーとは別に搭載されたリチウムイオンバッテリーへ充電し、車内電装品の電源とする事で鉛バッテリーの負担を低減。

走行中にオルタネーター(発電機)で鉛バッテリーへ充電しなければならないエンジンの負担を軽減し、大きな燃費低減効果を得ました。

エネチャージはオルタネーターを強化して限定的なモーターアシストを可能にした『S-エネチャージ』と呼ばれるマイルドハイブリッドシステムへ発展、さらに走行用モーターを追加してフルハイブリッドまで進化しており、小型大出力のリチウムイオンバッテリーをもっとも効果的に活用した例となっています。

ただ、リチウムイオンバッテリーは良いことばかりではなく、エネルギー密度が非常に高い割に液体電解質を使い続けているゆえ不安定な面もあり、爆発や火災の懸念は常にあります。

自動車用のリチウムイオンバッテリーはもちろん簡単に爆発などしないよう対策はとられていますが、対策のための装備や構造のため小型軽量化に限度があり、寿命が短く劣化も早いため、自動車としては高価な割に満充電走行距離がすぐ現象してしまうのが欠点です。

それゆえ、後述する全固体電池が後継とされ、自動車用としてはニッケル水素バッテリーより早く消滅する可能性もある一方、まだ世界中で数多くのリチウムイオンバッテリー工場が建設中な事から、技術の進化で安定すれば安価なバッテリーとして今後さらに発展、より多くの低価格車まで搭載される可能性も残されています。

EV用バッテリーの『本命』とされる全固体電池は、早ければ2020年代半ばまでに市販?

前項で書いたリチウムイオンバッテリーの欠点を、鉛バッテリーからリチウムイオンバッテリーまで広く使われてきた液体電解質ではなく、固体電解質に置き換える事で安定して大容量大出力、急速放充電を実現して劣化も少ない『夢のバッテリー』として期待されているのが全固体電池です。

ただし2018年末現在の技術ではリチウムイオン電池よりエネルギー密度や温度によりイオン伝導性が下がるため狙った出力や容量を現実的な価格で実現できておらず、日本でも産学共同で開発が進んでいるものの、実現は2020年代半ばではと言われています。

また、仮に全固体電池が実現したとしても、今まで以上に大電力を一気に充電できる急速充電インフラが整わなければ単に充電時間が伸びるだけとなるため宝の持ち腐れになり、インフラ整備される頃にはリチウムイオンバッテリーが進化しているのでは?という声も。

そのため現在は「将来はEVはじめ電動化された自動車が主力になるとしても、バッテリーは何が多数派になるか、まだまだわからない」という、過渡期の時代であって、トヨタなどEVの普及が急速に進む中国市場からの要請がなければ、まだEVを積極的に市販したくなかったはずです。

10年後どころか5年後には「将来主力となるバッテリー」など、現在と全く違うものが考えられたり、自動車の電動化政策が見直されているかもしれません。