スーパーカー

複数業者からのしつこい営業電話がない、買取入札

  • メールアドレスだけの匿名登録なので個人情報が守れる
  • あなたの車に複数業者がおよその買取額を提示
  • 一番高い買取額を提示した業者だけに個人情報を送信

軽自動車が日本だけだなんて大ウソ!ヨーロッパを走る「クワドリシクル」たち

クワドリシクル

「軽自動車こそ日本独自の自動車規格であり、海外には軽自動車がない。だから外国人が軽自動車に乗ると大喜びする。」インターネット普及で世界中の情報が知れ渡るまではこのような話が真剣に語られていましたが、実像はかなり異なります。昔から日本の軽自動車は輸出されていましたし、海外にも規格や制度は異なるものの、日本の軽自動車に相当する自動車規格があるのです。今回はフランスやヨーロッパ各国で走る『クワドリシクル』を紹介します。

20世紀初頭まで流行した『サイクルカー』の末裔

18世紀に生まれた自動車は19世紀も後半に入ると現在でも主流のガソリンエンジン車が登場し、大きく発展していきました。

とはいえ当時の自動車はほとんど手作り同然、馬車から発展したようなシャシーへエンジンやミッション、ハンドルによるステアリング機構を搭載し、コーチビルダーと呼ばれる架装業者が注文に応じてボディを作って載せていたような時代です。

いわば手作りの少数生産品ですから安価なはずもなく所有できるのは富裕層かバス事業者、運送業者などに限られ、税金も高かったので個人が簡単に所有できるものではありません。

そこで19世紀末から流行したのが『サイクルカー』と通称される軽量乗用車で、大抵は2人乗りで小さくボディも簡素、軽量なので非力なボディでもよく走り、中にはスポーツカー顔負けの走りを見せるサイクルカーさえあったほどです。

ここまで見てわかるように『サイクルカー』とは現在の日本で言えば軽自動車のようなポジションにあり、とにかく安く自動車に乗りたいというヨーロッパのユーザーの間では大流行したと言われます。
オートバイの零細メーカーなども参入して盛んに作られたと言いますから、日本の軽自動車黎明期(スバル360以前)に似ているかもしれません。

ただしサイクルカーの流行はフォード・モデルT(1908年)など大資本の自動車メーカーが大量生産して安価に販売できる『大衆車』が登場すると価格競争力を失って急速に衰退。

第2次世界大戦後にヨーロッパの産業が壊滅していた時期にも『マイクロカー』や『バブルカー』と名を変え再び流行した時期もありましたが、イタリアのフィアット500やイギリスのBMCミニなど安価で必要十分な性能を持つ大衆車が登場すると、再び消えていきました。

ただ、完全に消えたわけではなくサイクルカー時代から時代に合わせ変貌してきたマイクロカーの規格自体は残り、簡便なシティコミューターとして今まで地道に生き残っています。

フランスの免許いらずなマイクロカー規格『クワドリシクル』

中でも代表的なのが『クワドリシクル』と呼ばれるフランスを中心としたマイクロカー規格で、フランスでクワドリシクルは『Voiture Sans Permis』、すなわち免許がなくても14歳以上ならば運転できるという、日本からするとビックリするような制度があります。

クワドリシクルはフランスのみならず各国に存在し、それぞれ免許制度(原付免許や運転できる車の限られる免許もある)や車の規格が若干異なりますが、フランスの代表的なクワドリシクルメーカー『Aixim』では、堂々と『免許不要車のヨーロッパNo.1』を謳っているほど。

1960年代以降はかつてのマイクロカーの生き残りや、税金の安いリライアント・ロビンなど簡易な3輪自動車などが地方で細々と走るだけになっていた時期もありましたが、今や都会を堂々と走るクワドリシクルは最新のオシャレなデザインで街へ溶け込んでいます。

確かに軽くて小さくなければいけないという制約はあるので、日本の軽自動車同様に少々寸づまりなスタイルであり、乗車定員は2名と軽自動車の4名より少ないですが、個人用シティコミューター、あるいは屋根付き4輪バイクと考えれば2人も乗れれば十分。

規格の都合で軽自動車並のガソリンエンジンは搭載できないため、日本のクボタが作っているディーゼルエンジンなどがトルクの太さから重宝され、EV(電気自動車)も存在します。

最高速度が45km/hに制限され、自動車専用道路が走れないという制約も街中での個人用交通機関と考えればフランスでは大した問題は無いようで、わざわざ1人だけの移動で大きな車で道路を専有することもないため、交通渋滞緩和にも一役買っていそうです。

『クワドリシクル版軽トラ』もあるので、日本にもあれば便利そうだけど…?

それだけオシャレで性能も必要十分というなら、日本でもクワドリシクルがあれば便利そうにも思えます。最高速度が45km/hに制限というのも、日本では片側2車線以上の道路や郊外の流れがよほどいい道路でもなければ、案外40km/h程度も出ればコト足りてしまうので、そう問題はありません。

この記事を書いている筆者自身、30年前に生産されて新車当時のカタログスペックで30馬力しかない軽自動車に乗っており、広く流れの良い道路なら60km/h程度出しますが、住宅街の片側1車線道路なら30~40km/h程度でノンビリ走っていて煽られることもなし。

さすがにいざという時に4人乗れる、高速道路も走れる軽自動車だからこそ「普段はノンビリでも良い」と思えるだけで、乗用車としては若干物足りないかもしれませんが、クワドリシクルにはトラックもあります。

つまり日本では軽トラに相当するわけで、それならオシャレな商用車として導入したいというユーザーがいても良さそうです。

ただし、クワドリシクル用のエンジンとして一般的なクボタ製直列2気筒ディーゼルエンジンは日本の軽自動車規格だと排ガス規制に通らず、登録できません。

ならばEV仕様ならイケるのでは?ということでAIXAMの『e-TRUCK』を輸入販売しようと輸入販売権を取得した業者が『AIXAMジャパン』を立ち上げた事もありましたが、結局実現せずに終わっています。

衝突安全基準など日本の軽自動車規格に合わせるためのハードルが予想以上に高かったようですが、近年は日本の軽トラもレジャー用途などで多彩なカスタマイズが行われるようになているため、少々効果でも需要がありそうに見えて、いずれ再挑戦する業者が出てくるのを期待したいところです。

シンプルさが魅力のAIXAM『Gamme MINAUTO』を例にして日本のN-BOXと比較

代表的なクワドリシクルメーカー、AIXAMのエントリーモデルが8,999ユーロ(約112.3万円)からの『MINAUTO』で、479ccの2気筒ディーゼルエンジンを搭載し、最高出力6kw(8馬力)/3,200回転、最大トルクは21N・m(2.1kgf)/2,500回転というスペック。

クボタのエンジンカタログを見ると、産業用汎用ディーゼルエンジン『Z482-E3B』のようで、車重は425kg(最大許容重量675kg)ですから、パワーウェイトレシオは約53.1kg/ps、トルクウェイトレシオは202.4kg/kgf。

2019年2月現在、日本で一番売れているホンダN-BOXの自然吸気エンジン車と比較してみると、『N-BOXカスタムG EX』で最高出力58馬力/7,300回転、最大トルク6.6kgf/4,800回転で車重930kg。パワーウェイトレシオは16kg/ps、トルクウェイトレシオ141kg/kgfですから、スペックだけ見ればMINAUTOは明らかに劣ります。

しかしN-BOXは制限速度100km/h(近年はもっと速い場所もある)の高速道路で走る事すら要求された乗り物で、それゆえある程度「ブン回して速度を稼ぐ」事も要求されていますから、最高速度45km/hで街中をトコトコ走れば良いだけならMINAUTOのスペックでも十分。

N-BOXのホンダS07Aエンジンより半分の回転数で最高出力も最大トルクも出し切っているので、「速くはないけど粘る特性」で、日本の渋滞路ではむしろ扱いやすいかもしれません。

もっとも排ガス規制の問題でディーゼルエンジンのMINAUTOは輸入しても公道を走らせるのが困難なのが難点ですが、AIXAMには『eAIXAM』シリーズのEVもあり、そちらは最大トルク50N・m(5.1kgf)とディーゼルの2倍の力強さ(最高出力は6kwで同じ)。

日本でも2人乗りのスマート・フォーツーがソコソコ売れた実績がありますし、EV版ならクワドリシクルも日本で結構馴染むかもしれません。

ちなみにクワドリシクルにはAIXAMだけでも『MINAUTO』の他に『SENSATION』など複数の車種がありますが、内外装以外はパワーユニットがディーゼルかバッテリー&モーターかの違いくらいで、大きな差がないところも日本の軽自動車と共通です。

日本でも『日本版クワドリシクル』的な超小型モビリティーが期待されているが…

日本人の目から見ると、軽自動車とミニカー(50ccまでで1人乗りのマイクロカー規格)の中間に思えるクワドリシクルですが、日本でも明らかにクワドリシクルを参考にしたとみられる新たな自動車規格の策定が検討され、実証実験も行われています。

国土交通省が進めている『超小型モビリティー』がそれで、ミニカーではトヨタの『コムス』『i-ROAD』、ホンダの『MC-β』、一部保安基準を満たさないため実証実験限定の特認扱い軽自動車では日産の『ニューモビリティコンセプト(ルノー・トゥイージー)』やトヨタの2人乗り版コムスで実証実験中。

どちらかといえば個人所有のパーソナルカーというより、カーシェアリングなど貸出用の実権が多くなっています。

日本の場合、車の大小に関わらず駐車場が求められ、超小型モビリティーが役に立ちそうな都心部ほど月極駐車場代も高い事から、個人があまり車を所有しない時代に向け、次世代カーシェアリング車両として模索しているのかもしれません。そんな時代が来たら、日本でも外国製のクワドリシクルが走る日が来るかもしれませんね。