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アファルターバッハの熟練マイスターが魅せるプライド、メルセデスAMG

アファルターバッハの熟練マイスターが魅せるプライド、メルセデスAMG

かつてバブル景気の頃まで、メルセデス・ベンツ車の特別なチューニングカーとして名を馳せたAMG。現在は正式にダイムラーグループへ組み込まれ、メルセデス・ベンツ車の開発段階から関わる純正チューナーとなっています。聖地アファルターバッハの職人のみが組み上げたエンジンを積む時代ではなくなっているとはいえ、そのプライドは今でも健在だと言えるでしょう。

『アーマーゲー』じゃなく『エーエムジー』、メルセデスAMGとは

押しも押されぬ世界最大の高級車ブランド『メルセデス・ベンツ』を擁するダイムラーAGがまだダイムラー・ベンツだった頃、多くの自動車メーカーの例に漏れずレースにはとても熱心なメーカーであり、特に第2次世界大戦前はナチス・ドイツの国威発揚のため、レースのみならず速度記録にも熱心でした。

戦後も1950年代からモータースポーツ活動を再開すると、マシンを銀色に塗った伝統の『シルバーアロー』は再びサーキットで大活躍しますが、1955年のル・マン24時間レースで観客席を巻き込む大事故を起こしてモータースポーツから手を引き、1980年代まで長期間復帰しないという時期もあったのです。

そうしてモータースポーツからメルセデス・ベンツが撤退していたど真ん中の1967年、メルセデス・ベンツ車がメインのエンジンチューナーとしてAMGは生まれました。

創業者の2人、アウフレヒト(ハンス・ヴェルナー・アウフレヒト)とメルヒャー(エアハルト・メルヒャー)、そしてアウフレヒトの故郷グロース・アスバッハの頭文字を繋げた『AMG』はこうしてスタートし、1971年のスパ24時間レースで彼らのチューンしたメルセデス・ベンツ300SEL6.8がクラス優勝(総合2位)、大いに名を上げたのです。

日本でもその活躍は知られる事となり、いつしか『アーマーゲー』と呼ばれ「見た目はそう変わらないのに中身が普通のと違う、すごいベンツ」としてクルマ好きの間では伝説的な存在となっていきました。

ただ、AMGの呼び名は現在英語発音の『エーエムジー』が正式らしく、仮にドイツ語発音でも『アーエムゲー』にしかならないため、『アーマーゲー』と呼んでたのは日本だけだと言われています。

アーマーゲーの由来は諸説ありますが、1980年代後半、とある雑誌社で紹介する時にドイツ語だと何と読むのかわからず、出入りしていたバイトの学生に聞いたら「アーマーゲーじゃないですかねー」と言われて掲載したのがそのまま定着した、というのが有力な説です。
当時はBMWの事も『ベーエムヴェー』なまって『ベンベ』と呼んだりしましたし、何かと正確に発音しようとして、時に適当になってしまったのでしょう。

躍進したAMGと伝説の『ハンマー』

スパ24時間レースをはじめ、AMGチューンのエンジンを積んだマシンは数々のレースで活躍し、「AMGの辞書に不可能はない」と言われてその名を世界中に轟かせました。

1976年に現在の本拠地でありAMGファンの聖地アファルターバッハへ移転しても勢いは続き、1986年には当時の傑作、初代メルセデス・ベンツEクラスクーペ(C124型)へAMGチューンのエンジンを搭載した『AMG 300E 5.6』が登場。

まだポルシェ959やフェラーリF40など限られたスーパーカー以外では、本当に最高速度300km/hを達成できなかった時代になんと最高速度303km/hを達成、『The Hammer(ザ・ハンマー)』と呼ばれて伝説となりました。

そもそも初代Eクラス自体が『最善かなか』をモットーとしていた時期のメルセデス・ベンツ最後の傑作だった事や、後にポルシェが開発に関わった高性能版500Eを生み出すなど高性能の裏付けとなる下地が存在したとはいえ、パッと見で「ちょっとエアロ組んでローダウンした程度に見えるセダン」が300km/hオーバーの高性能を誇るなど、当時は驚異的なことだったのです。

これらの成果を踏まえてダイムラー・ベンツもAMGを認めて正式にパートナーとなり、1980年代末からDTM(ドイツツーリングカー選手権)に参戦するメルセデス・ベンツ車はAMGがチューニングを手がけ、1990年に結ばれた協定によりAMG車は世界中のメルセデス・ベンツ正規販売店で売られるようになりました。

さらに1993年には開発段階からAMGが関わった初のモデル『AMG C36』が登場、1999年にはダイムラー・クライスラー(当時)が創業者アウフレヒトから株の過半数を取得し、2005年には100%子会社化され、ついにAMGはメルセデス・ベンツと切っても切れない関係になります。

メルセデス・ベンツには他にもブラバスやロリンザーといった著名なチューナーが存在しますが、AMGは明らかに別格であり、事実上メルセデス・ベンツのモータースポーツワークスおよび高性能ブランドとなりました。

F1復帰と『メルセデスAMG』ブランドの確立

一方、メルセデス・ベンツは1994年からF1グランプリへ復帰、当初こそエンジンメーカーのイルモアへの資本参加による『名前だけ参加』でしたが、やがて2005年にはF1エンジン部門が『メルセデス・ベンツ ハイパフォーマンスエンジン』として正式にダイムラーグループ入りし、2012年以降のF1には『メルセデスAMG』チームとして参戦するようになりました。

2年後の2014年にはメルセデス・ベンツ車をベースとした高性能市販車も『メルセデスAMG』ブランドとなり、超高級車ブランド『メルセデス・マイバッハ』と対を為すメルセデス・ベンツ上級ブランドへと成長します。

市販車での活躍は単にメルセデス・ベンツの高性能バージョンに留まらず、2010年に発売したスーパーカー『SLS AMG』で初めて、市販車チューンではない完全オリジナルのAMG車が登場。

以降2019年5月現在も販売されている『AMG GT』や、メルセデス初のハイパーカー『ワン』を手がけて、今やAクラスなどFFコンパクトカーすら手掛けるメルセデス・ベンツの高性能バージョンも引き続き開発しつつ、スーパーカーやハイパーカーではメルセデスAMG独自の世界を構築しています。

アファルターバッハの職人魂が息づくメルセデスAMGモデル

2019年5月現在のメルセデスAMGは、AMG GTやAMG ワンといった独自モデルとミニバンやピックアップトラック、商用車を除く『メルセデス・ベンツ』ブランド全車種の高性能バージョンを手がけており、開発段階から関与する事で高品質と高性能を両立した超高性能高級スポーツを開発・販売しています。

大別すると、車名に65が入る6リッターV12SOHCツインターボエンジン搭載の『65系』、55が入る5.5リッターV8DOHCツインターボまたは4リッターV8ツインターボエンジン搭載の『63系』、45が入る2リッター直4DOHCターボエンジン搭載の『45系』、そして3リッターV6DOHCツインターボエンジン搭載の『43系』をラインナップ。

このうち聖地アファルターバッハで主に組み立てられているのは『65系』『63系』で、アファルターバッハ以外の別工場でのみ組み立てられる『45系』までが、メルセデスAMGのマイスター(職人)が1台1台のエンジンを手組みして、それを証明するプレートがおごられた『純AMG車』です。

『43系』は2015年からの短期間のみ『AMGスポーツ』と呼ばれていた、内外装を中心にAMGブランドを利用したファンション感覚のメルセデスAMG車で、エンジンは通常のメルデス・ベンツ車と同じものが搭載されています。

それゆえ43系は真のAMGではない、いやいや45系もアファルターバッハで作られていないのだから63系と65系こそ至高(ただし需要増加で63系や65系にしろ必ずしもアファルターバッハ製ではなく、別な工場でも組み立てられる)など、ファンにとってはどこまでAMGとして認めるのか、議論があるようです。

しかしエンジンの生産拠点がどこなのか、どんなチューニングが施されているかに関わらず、現在は全て開発段階からのメルセデスAMGが関わっていることを考えれば、1台1台に驚異的な高精度を求める職人魂はどの車種にも健在だと言えるでしょう。

かつてはAMGチューンの日本車があった

大抵のチューニングブランドがそうであるように、世界的に名が知られてくるようになると、そのブランドイメージを利用したいという希望が舞い込むようになり、AMGでもメルセデス・ベンツ以外の車を手がけたことがありました。

日本では三菱がAMGに開発を依頼して1986年に『デボネアAMG』、1989年に『ギャランAMG』を発売。
前者はデボネアV(2代目デボネア)に内外装チューンを施したドレスアップ車に留まったものの、後者は極めて真面目にエンジンチューンまで行われた『本気のAMG仕様』であり、ラリーで活躍したギャランVR-4ほどメジャーではなかったものの、通好みの高性能高級NAスポーツセダンとして現在でも知られています。

当時の三菱はアメリカのクライスラーと提携していたとはいえ、そのクライスラーがダイームラー・ベンツに買収されて『ダイムラー・クライスラー』になるより前の話です(しかもクライスラーは2007年にダイムラーから切り離され、現在はフィアットと合併してフィアットクライスラー、FCAとなっている)。

まだAMGがダイムラー・ベンツと本格的に提携する以前のわずかな期間だからこそ可能な出来事だったらしく、その後メルセデスAMGとなった現在に至るまで、AMGはダイムラー(メルセデス・ベンツ)専属チューナーとなっています。