スーパーカー

複数業者からのしつこい営業電話がない、買取入札

  • メールアドレスだけの匿名登録なので個人情報が守れる
  • あなたの車に複数業者がおよその買取額を提示
  • 一番高い買取額を提示した業者だけに個人情報を送信

ちょっと高級なVWとは言わせない!アウディ浮沈のカギを握るアウディスポーツ

ちょっと高級なVWとは言わせない!アウディ浮沈のカギを握るアウディスポーツ

日本ではメルセデス・ベンツとBMWに次ぐドイツ第3の高級車メーカーと言えるアウディ。ただしそのブランド展開は決して安定したものとはいえず、1980年代のラリーシーンを彩り、バブル景気の頃にはオシャレなプレミアムカーとして人気を博したかと思えば、その後しばらくはフォルクスワーゲン車の上級版のようで地味な扱いが続きました。ル・マン24時間レースなどでは活躍したものの市販車にそのイメージが結び付きにくく、近年力を入れているのが『アウディスポーツ』ブランドです。アウディは日本市場においてその神通力を取り戻すことができるのでしょうか?

ラリーで強くスキーブームにも乗った日本で大人気だった時代のアウディ

ドイツのプレミアム自動車メーカー、アウディの歴史は意外にも古く、原点となる旧『ホルヒ』が1901年に創業していますから、もう100年以上の歴史を誇ります。

ただし、そこで単純に『歴史伝統のアウディ』とならないのがこのメーカー最大の特徴で、第1次世界大戦後に『アウディ』(旧ホルヒから追放された創業者が1909年に改めて設立)、新『ホルヒ』、『DKW』、『ヴァンダラー』の4社が合弁して『アウトユニオン』を設立。
現在のアウディまで受け継がれる4つの輪を横に重ね並べたエンブレムはこの時できたもので、4社合弁の企業連合を表しています。

第2次世界大戦後、ダイムラー・ベンツ傘下を経てフォルクスワーゲン(以下、VW)傘下で1965年に『アウディ』ブランドが復活。
当初は生産体制が不足していたVW・タイプ1(通称『ビートル』)を増産する下請け的な扱いでしたが、一方で『アウディ』ブランドでの独自車種開発も許され、VW車より先進的なメカニズムを搭載した大衆車メーカーとして再スタートを切りました。

結果的にアウディはFF(フロントエンジン・前輪駆動)メカニズムを確立して初代・VWゴルフの開発に関わるなどVWの救世主的活躍を見せるとともに、1980年に発表したアウディ・クワトロでフルタイム4WDシステム『クワトロ』を開発。

それ以前からフルタイム4WD乗用車そのものは存在していたものの、アウディではクワトロをただちにグループ4ラリーマシンとしてWRC(世界ラリー選手権)へ投入し、WRC初のフルタイム4WDラリーマシンとして熟成につれて連戦連勝の強さを見せ、その後のラリーマシンの方向性を決定づけます。

一方、その頃には先駆者のスバルのみならずポツポツと4WD乗用車が増え始めていた日本では、まだまだレバーやボタンで操作は便利になったとはいえ、高速走行向きではないパートタイム4WDばかりという時代で、そこにフルタイム4WDで舗装路から悪路まで自在に高速走行する4WDシステム『クワトロ』を搭載したアウディ車は大歓迎されました。

当時の日本はようやく大抵の主要道路が舗装され終わった頃でしたが、折からスキーブームが到来していた事や、バブル景気の到来で威圧感のないスマートな新時代輸入高級車が求められたのにアウディのデザインはマッチして、一時は『女子大生の好感度ナンバー1』と言われる大人気車に上り詰めたのです。

この頃のアウディはWRCでグループ4マシンとして圧倒的な強さを見せた後、グループBではミッドシップ4WD勢(ランチア・デルタS4やプジョー・205T16など)に苦戦するも1986年に始まったグループAラリーではアウディ200クワトロでマニュファクチャラーズタイトルを獲得したのを最後にワークス活動は撤退。

しかし数年のラリー活動でアウディのスポーツイメージは格段にアップしており、日本でもその影響を受けた『雪道でも強い高級車アウディ』人気に貢献していました。

インポーターの交代など混乱続きで低迷した1990~2000年代のアウディ

しかし、せっかく日本市場で足場を築いたアウディでしたが、インポーター(輸入権を持つ業者)だったヤナセが1992年に権利を失い、日本法人の『フォルクスワーゲンアウディ日本』がジヤクス系『ファーレン』、トヨタ系『DUO』店でVW車とまとめて販売するようになると、ゴルフを中心に躍進したVWに対し、アウディの存在感が急速に薄まってしまいます。

1998年にアウディジャパンが設立され、改めてアウディ専売ディーラー網を立て直しVW車との併売を避けることでブランドイメージ再構築を図りますが、その間に「VWと中身が同じ上級ブランド」という誤解(A3や当時のA4は確かにその通りでしたが)も定着してしまい、バブルの頃に得た高評価はすっかり消え去っていました。

一方、1998年に初代モデルを発売したスポーツクーペ『TT』は空力設計の詰めの甘さが災いして高速域で車体が浮いて横転する事故が発生、スポーツイメージに陰をさしてしまう有様で、日本市場のみならず当時のアウディはブランドイメージに深刻な傷がついていた時期です。

そのような逆風の中で1999年からル・マン24時間レースなどWEC(FIA世界耐久選手権)へ参戦するプロトタイプレーシングカーの開発を開始、2000年のR8(レーシングカー版)で優勝するや、2006年のR10TDIで直噴ディーゼルターボ初のル・マン優勝、2012年にはR18 e-tronクワトロでハイブリッドカー初のル・マン優勝など、着実に成果を上げました。

こうして世界的には『スポーツのアウディ再来』を実現しましたが、日本のように国産車メーカー贔屓の試乗ではとにかくトヨタや日産など国産車勢ばかりが順位に関わらずクローズアップされる傾向にあり、アウディの凄味があまり伝わらない、あるいは伝えるだけ憎きライバル扱いで、かえって販売面ではマイナス傾向だったようにも思えます。

要するに、ポルシェのような『耐久王のスポーツカーメーカー』に勝たれるならともかく、なぜVWの上級車メーカーにここまでコテンパンにされるのか、というのも面白くなければ、レースでいくら勝っても主力のプレミアムコンパクト~プレミアムセダンの販売に結び付きにくかったように見えました。

2016年、『アウディスポーツ』始動

その間にも前述のスポーツクーペ/オープンスポーツの『TT』や、同じVWグループのスーパーカー、ランボルギーニ・ガヤルドと同じV10エンジンを搭載する『R8』(市販スポーツ版)を発売しますが、4WDシステム『クワトロ』が昔から高い評価を受け続けるのとは対照的に、今ひとつスポーツイメージが足りない、レースでの活躍が市販車の評価に反映されにくいというのは、日本市場だけの問題ではなかったようです。

実はアウディでは1983年にアウディ車の高性能バージョン開発やモータースポーツ活動を統括する『アウディ社』を設立、メルセデス・ベンツの『メルセデスAMG』やBMWの『BMW M』に相当するポジションにありました。

4代目アウディ80(B4型)のクーペがベースの『S2』やアバント(ステーションワゴン)がベースの『RS2』をクワトロ社で開発したのを皮切りに、ホットモデル『S』シリーズや超高性能版『RS』シリーズをアウディ車ベースで開発しますが、今ひとつパッとしません。

そこで2016年、クワトロ社を『アウディスポーツ』社へ改名するとともに日本などでも『アウディスポーツ』ブランドの展開を開始。各国の高級輸入車市場でメルセデスAMGやBMW Mに真っ向勝負を挑む体制を整え、それらライバルに伍する高性能モデル『RS』シリーズをアウディスポーツ扱いとして、差別化を図り始めました。

さらにRS3やTT、R8によるツーリングカーレースやGTレースなどモータースポーツ活動にもアウディスポーツとして力を入れ、アウディ車のワークス活動のみならずプライベーターへマシンを供給するカスタマーレーシング活動にも力を入れて、とにもかくにもアウディ市販車のスポーツイメージ構築に繋がるよう、全力で力を入れ始めています。

アウディスポーツでのブランドイメージ向上はまだまだ道半ば、起死回生策は先進技術

1990年代末からの現地法人やディーラー網をVWから独立させたことや、熱心なモータースポーツ活動、オールアルミボディなど先進的な大型高級セダンや高級SUVの投入によって、アウディのブランドイメージは少しずつ変わっていっているように思えます。

現在のポジションとしては、A1~A5までのコンパクトカーからミドルクラスセダン、その派生車種がVWグループのプレミアムコンパクト部門で、A6以上でアウディ独自の高級車部門となっており、それぞれメルセデス・ベンツやBMWの同クラス車種よりは安価で、VWの同クラスより高級という位置です。

ただし厳格な階級社会であるヨーロッパではメルセデス・ベンツやBMWが持つ高級イメージには遠く及ばず、若々しくスポーティというイメージではBMWに並ぶものの、ホンダやルノーとニュルブルクリンクサーキットでFF車世界最速を争うVWほどポジティブではない、といったところで、つまりは今でも少々中途半端。

しかしアウディにもう一歩抜きんでるチャンスがないかといえばさにあらず、電動化や自動運転といった先端技術をVWに先んじて採用する役割も持っているため、そこでまだ『最先端技術に優れた高級車メーカー』として巻き返す余地はあり、ル・マン24時間レースでR18 e-tronクワトロが活躍したことなどまさにその布石というべきです。

EV(電気自動車)に関してはVWでもシティコミューター的な車種を多数ラインナップしていきますが、ドイツ車の中ではアウディが得意としている発電用小型ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVや自動運転技術を『アウディスポーツ』ブランドで積極的に取り込み、『スポーティかつ最先端』をアピールしていくことになるでしょう。

ただ、日本だけなのか世界中でそうなのか、アウディ自体が『アウディスポーツ』ブランドをうまく宣伝できていない感もあり、今後何か劇的に知名度を上げる策がないと、ブランドとしては案外アッサリと消えてしまうかもしれません。そのあたり、『アウディスポーツ』に期待を寄せているファンにとっては、少々歯がゆいところではないでしょうか?